ともくんはお母さんと庭でカボチャを育てています。
耕した土の上に指でぽこぽこ穴をあけて、カボチャの種をまいて土をおふとんみたいにかけてあげます。芽がでたら、たっぷりと水をあげて、雨がたくさん降ったらかぼちゃはぐんぐんと大きくなります。暑い夏がきて、カボチャが大きな黄色のお花を咲かせたら、カボチャの赤ちゃんがあらわれます。
「おおきくなあれ おおきくなあれ」
カボチャの実がなったら、「かぼちゃケーキ」、「かぼちゃスープ」に「かぼちゃプリン」。
ともくんが自分で育てたカボチャの味を夢見ながらうとうと幸せな眠りについていたある夜のこと、大きな音が庭先でして・・・!?
作者は、滋賀県の京都よりの比叡山麓にお住まいのてぬぐい作家の鴨川志野さん。
てぬぐいを染める型をつくるように、特色4色の色版を切り絵にして、版画方式で制作されています。てぬぐい作家さんならではの素朴で力強いあたたかみのあるタッチがとても魅力的です。
はじめての絵本は、鴨川さんが庭で作っていた野菜を盗みにきた動物の親子の実話をもとにつくられたもの。自然の中で暮らす鴨川さんの日常では、シカ、イノシシ、サルなどの野生動物に鉢合わせすることもしばしば。動物にとってみたら、目の前にこんなに美味しそうな野菜や果物があればたまりませんよね。
山の中にはたくさんの動物たちが暮らしている、そのことを想像するだけで子ども達にも違う世界が見えてくるのでは?という思いから作られたとても優しい絵本です。
絵本の中に登場するカボチャ料理のレパートリーがまたなんとも美味しそうで、カボチャが無性に食べたくなります!
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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