どんぐりむらのおまわりさんと、
おまわりさんになりたいどんぐり少年、いっちの物語です。
いっちは、おまわりさんになりたい一心で、
困っている村の人たちを助け、日々奉仕に努めています。
そんないっちはある日、意を決して、
「いますぐおまわりさんにしてください!」と交番に言いにいきますが、
まだ小さいからできないとおまわりさんに言われてしまいます。
「まだこどもだからできないよ。」
「まだ小さいから、だめだね。」
おまわりさんと同じような、悪気のない大人のコトバで、
どれだけ子供たちを傷つけ、悲しくさせてきただろう・・・。
いっちの悲しい表情を見て、思わず考え込んでしまいました。
一緒に読んでいた7歳の息子の方は、
いっちに共感。
おまわりさんに言われて湧き上がってきたくやしさ、
おとしもののつえを、見つけたのに、
また見落としてしまったくやしさ、
「信じてるよ」と大人に言われたけど、
でも口先だけだとわかっているくやしさ。
たくさんのくやしさをかかえたいっちの姿を、
食い入るように、見つめていました。
子供でも、大人と同じように、
認めてほしいことがたくさんある。
村のみんなのためにがんばるおまわりさんは、
決して悪い人ではないけれど、
それでも平均的なオトナの姿をよく映し出しているように思いました。
表面だけのうわべの態度は、
こどもはすぐに、見破ってしまう。
おまわりさんといっちから、教わった気がしました。
一方の息子は読み終わった後に、
「このどんぐりの世界に、どんぐりになって、住んでみたいなぁ〜。」
いっちの悔しい思いも無事晴れたところで、
彼の気分も晴れたみたいで、
どんぐり村の世界に思いを馳せていました。