
今昔物語にある話の絵本化。鬼に唾をかけられ姿を消されてしまった若者が悪事を続けていましたが、自分のみにくい心に気づき…。


鬼につばを吐きかけられたために透明人間になってしまった男が、普通の体に戻りたいと観音堂にこもっているうち、人の物を盗むことを覚え、どんどん悪事をはたらきます。あれれれ、観音様に願いことをしてて、そんなことしていいの? 「これで観音様に普通の体にしてもらえれば、大金持ちだ」なんて、都合が良すぎない? 人間って弱いもの、自分の都合のいいように考えるものなんですね。でもこの男は、最後の一歩で踏みとどまります。偉い!良心を失わなかった!とほめていいものかどうかわかりませんが、えてして凡人はつい悪の道にはまってしまうもの、それを鋭く指摘した珍しい昔話(絵本?)だと思います。最後に悪に転がる「くもの糸」の逆バージョンですから、人間性善説かな。 (ホートンさん 30代・ママ 男の子6歳、女の子5歳)
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