町をぐるっと取り囲む、大きなダムの上の風車小屋に、たったひとりで住む、少年ピッグ。
ピッグの仕事は、毎日風車をまわして、町に汚染された大気「くらやみ」が入ってくるのを防ぐこと。
でも、みんなは誰が町をまもっているのかを忘れ、ダムの仕事でよごれたピッグをのけ者にします。
学校でもひとりぼっちのピッグですが、ある日、転校生の女の子がやってきて、その出会いがピッグを変えていきます……。
世界の国際映画祭で20以上もの賞を受賞し、2015年にアカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされた映画『ダム・キーパー』を、すべての絵を描きおろして絵本化。
絵本を開くと、かわいい登場人物たちの姿ともに、光と影のコントラストが印象的なシーンが、圧倒的な力強さで押し寄せます。
アニメーション制作スタジオ「トンコハウス」が、細部までこだわって作った絵本です。
「トンコハウス」は堤大介さんとロバート・コンドウさんが立ち上げ、現在、日米を拠点に活動中。
もともとは、米国大手アニメ制作スタジオ、ピクサーで同僚だったコンドウさんと堤さん。背景美術や照明色彩の、それぞれの分野のトップであり、美術監督だった2人が、自主制作映画『ダム・キーパー』を手がけたのちに、ピクサーから独立して立ち上げました。
今の時代における才能が集まり、多彩な挑戦を重ねる「トンコハウス」の、新しい絵本です。
ぜひ手にとって確かめてみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む