水にゆられてたぷたぷと……「ここがわたしのねるところ」。ベッドは上に下に優しくゆれて気持ちよさそう。ここはオランダ。川や運河が多いこの国では、屋形船の家があるんですって!
そよかぜにゆらゆら揺れるハンモックで寝ているのは、ブラジルやメキシコの国の子どもたち。羊の毛を紡いでつくられた大きな敷物の上で家族みんなで寝ているのは、アフガニスタンの家。ロシアでは、ぽかぽか暖かいペチカの上がベッド、夏の夜のモロッコで、一番涼しいのは家の屋上。
ああ、みんな幸せそうな表情。寒い北の国でも、暑い南の国でも、一日の終わりはおやすみなさいの時間。子どもたちは、それぞれの寝どこで、心地よい眠りにつこうとしているのです。
土地の風土に合うように工夫された寝具の数々を、美しい刺繍工芸でつづられていくこの絵本。その作りこみは細かく、まるでそれぞれの寝室の温度まで伝わってくるような臨場感。うっとり眺め、子守歌のような言葉を聞きながら、世界のベッドタイムに思いをはせる。なんて贅沢な「おやすみ絵本」なのでしょう。いい夢が見られそうですよね。日本の子どもたちも登場しますよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
世界各地のベッドタイムを、美しいししゅう工芸でつづった絵本。子守歌のような言葉が、読む人を安らかな気持ちにさせてくれます。ハンモック、敷物、布団、ベッド……人々は心地よいねむりにつくために、それぞれの土地の風土に合った寝具を工夫しています。さむい国では、あたたかい暖炉のそばで、あつい国では、すずしい庭や屋上でねることもあります。各場面には、その土地の気候や生活様式にふれた一文が添えられています。
世界では、眠るところもさまざま。その違いに興味深く読みました。そして、なんといっても、その様子が、全てすばらしい刺繍手芸で表現されていることに驚きます。あたたかみのある、素敵さに見入ってしまいました! 世界中の人たちが安心して眠れる場所があることを願ってしまいます。 (あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
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