まだ空にお星さまがいる明け方。ぼうやはお父さんと一緒に魚釣りに出発します。
暗い道に唯一響くのは、ぴしっぴしっ、お父さんとぼうやが踏む小枝の音。
ゆらゆらとゆれるつり橋を渡り、くぬぎの木の下のふわふわの葉っぱのじゅうたんでひと休み…。
まるで大きな冒険のスタートです。
言葉にするだけでもドキドキしてきますが、優しい色合いで描かれたその静かな朝の風景の美しいこと!
この場面だけでも忘れられない思い出になりそうですね。
ぼうやは初めてお父さんに釣りに連れてきてもらったのです。
お父さんの教えてもらったとおりにしましたが、なかなか上手くはいきません。
その時、ぼうやの釣り竿がぐぐぐっとしなり…!?
いりやまさとしさんの描くお父さんと息子の絵本。大きくて頼もしく、でもとっても優しいお父さんの眼差し。そんなお父さんを見上げる可愛いぼうや。こんな関係に憧れます。お父さんが読むのはもちろん、お母さんが読んでもあたたかな気持ちになってきます。帰り道、ちょっぴりたくましくなったぼうやの後姿は、この体験がどんなに大きいものだったのかを物語っていますね。
このお話、いりやまさんご自身の体験がもとになっているそうですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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