「盆栽」っていうと、どんな印象がある?
立派なもの。おじいちゃんが大事にしているもの。枝ぶりが渋い。
あれ、鉢植えとどう違うんだっけ?育てるのはやっぱり難しい?
考えてみれば、盆栽って馴染みがあるようで、全然知らない気がしてくるのです。
でもこの絵本をひとたび開けば、あっという間に盆栽の世界の広さと深さに取り込まれていってしまいます。
それはそうです。だって、作者の大野八生さんは絵本作家、イラストレーターでもあり、造園家としても活躍されているユニークな経歴の方。
彼女の絵本『じょうろさん』、『にわのともだち』などは、庭の草木の目線から生まれてくる魅力的なお話です。そして、この『盆栽えほん』はまさに本領発揮というわけなのです。
主人公の女の子「わたし」のおじいちゃんの家にはたくさんの盆栽があります。ひとくちに盆栽といっても、松柏盆栽、花もの盆栽、草もの盆栽など、「木」「花」「実」「草」を楽しむさまざまな種類があります。おまけに樹の形もいろいろ。
「うわあ、こんなに可愛い盆栽もあるんだ!作ってみたい」
思わず声を出しながら、でもどんなふうに作ればいいのか検討もつかない。
そう、盆栽はまずイメージづくりから入るのです。
おじいちゃんによると、「植物を材料にして絵を描く」ようなものなんだって。うーん、なるほど。鉢の中に小さな風景をつくるんだね。
あとは、大野さんの描く繊細で優しい絵と、具体的で細かい説明に沿って初めての人でも盆栽を手軽に楽しめるようになっているから大丈夫!お手入れの方法から驚くアイデアまで入門書としても使えちゃう絵本なのです。
小さな鉢からひろがる大きな世界!今、「盆栽」が世界からも注目を浴びているというのも納得ですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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