『じゅげむ』(クレヨンハウス)などで人気の川端誠さんが、画風を変えてあらたな落語絵本シリーズに挑戦!
1作目は『てんしき』です。さて、てんしきって何でしょう?
お腹の具合がわるくて医者にみてもらった、お寺の和尚さん。
医者に「てんしきはありますかな」と聞かれますが、何のことだかわかりません。
つい知ったかぶりをして「てんしきはありません」と答えてしまいます。
さあ、気になった和尚さんは、小坊主の珍念さんを呼び、「てんしきをかりてきなさい」と言いつけます。
何だかわからないものを、かりてこい、と言われて困ってしまった珍念さん。
花屋や石屋のおやじさんに、「てんしきあったら、かしてください」と言いにいきますが……。
てんしきって、床の間に飾っておくもの?
みそ汁に入れて食べるもの?
いやいや、実はそんなものじゃないんです!(笑)
「知らない」と言えない大人たちと無邪気な珍念さん、医者との間に繰り広げられる、へんてこなやりとりといったら。
落語好きには有名な「てんしき」ですが、川端誠さんの絵本技術によって、このたび初めて1冊の絵本になりました!
最後のオチには、大人も子どもも笑っちゃいますよ。
日本語の楽しさや、つい知ったかぶりをしてしまう人間の妙味が、存分に伝わってくる落語絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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