目覚まし時計が鳴ると、慌てて電話に出て「もしもし!もしも〜し」。
車で山へドライブに出かけたのに、バスを見かけると「よし、帰りはあのバスに乗って帰れるぞ」。
この絵本の主人公オットさんは、絵描きさん。
どうやら、かなりおっちょこちょいのようです。
絵を描いているうちに、モチーフとして置いていたパンをいつの間にか食べてしまったり、ホースを足で踏んでいたのに気がつかずにのぞきこみ、全身水浸しになっちゃったり。
他人の失敗というのは、悪いと感じつつ、思いっきり笑っちゃうものです。
だって、オットさんの失敗の思い切りの良さといったら・・・ね。
オットさんがすごいのは、不思議となぜか結局幸運が舞い込んでくることです。
間違えて取った受話器のおかげで、おばあちゃんの誕生日を思い出し、電話でおめでとうを言うことができたし、ぶちまけたホースの水のおかげで、自分の車がピッカピカにきれいになってたり。
何だかそれって面白い。おっちょこちょいがこんな幸せにつながっているなら、悪いばかりじゃないなって思えます。
人に親切で、小さな事は気にしない、いつも前向きなオットさんは作者の土屋富士夫さんに似ているのでしょうか。(勝手な想像です)とっても魅力的ですよね。
読んでいる間中、笑いの絶えない、楽しくて明るい気持ちになれる絵本です。
(私もおっちょこちょいを楽しんでみなくっちゃ。)
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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