チャイコフスキーの美しい調べにのせて少女クララとくるみ割り人形が繰り広げる夢のようなひと時。
この絵本は、生まれて初めて観るバレエ「くるみ割り人形」を心待ちしている小さな女の子の物語。
今日は、だいすきな「バレエ」をみにいく日。
パパとママと港が見える町におとまりなのよ。
おしゃれをして、はじめてのバレエをみにいくの。
発表会でおどった「おかしのようせい」がでるのよ。
ああ、もうまちきれない!
初めてみる舞台。ドキドキがとまりません。
スポットライトをあび、しなやかに美しく可憐に舞う「おかしのようせい」たち。
小さな女の子の心と体は、魅力的な本物のバレエの世界に酔いしれます。
我を忘れて夢中になってみた「バレエ」の興奮がさめやらぬまま、女の子の特別な夜が始まります。
さて、続きのお話は絵本を見てのお楽しみ。
ホテルに着くやいなやベッドの上でおどけて見せたり、ドレスを着て準備している時や会場へ向かう階段でも、バレエへの憧れとトキメキが小さな体からあふれだしている様子が女の子の体全身を使って表現されているのです。あんなにキラキラと輝くうるんだ瞳で夢中になっておしゃべりする姿を見てしまったら・・・。小さな女の子の一つ一つのしぐさがこれほどまでに可愛らしい絵本はあったでしょうか。ページをめくるたびに、そのなんとも言えぬ天使のような愛くるしさに自然と顔がほころんでしまいます。幼い頃に感じたこの驚きと感動は、きっと女の子の永遠の宝物となることでしょう。
絵本の中では、実存する「ホテルニューグランド」や横浜山下公園の「日本郵船氷川丸」がホテルの窓から見えていたりと横浜の景色が描かれているのもお楽しみの一つ。
夢見る女の子に、そしてバレエが大好きな大人の女性にもおすすめしたい絵本です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
続きを読む