この家には、4人の人間の家族が住んでいます。
でも、じつは…ほかの家族も住んでいます。
それがどんな家族か、わかる?
それは…ねずみの家族!
ねずみの家族は、人間がベッドに行くのを待って、食べ物をさがします。
ご飯のあとは、こねずみたちは遊びます。
人間に見つからないように暮らしているねずみたちですが、ある日男の子がベッドに行く途中でねずみを見つけて「ねずみがいるよ」と言ったからさあたいへん!
お母さんはびっくり。お父さんはすぐに業者に電話をかけて、翌朝ねずみ退治に来てもらえるようにします。
それを見ていた人間の子どもたち…お姉さんと弟は、ねずみに手紙を書きました。
「ねずみのみなさん きけんがせまっています こんやこのいえからにげてください こどもいちどうより」
ユーモラスであたたかいジョン・バーニンガムの絵本。
谷川俊太郎さんが感情をおさえた淡々とした語り口で翻訳し、それがまた不思議と心地よいあたたかさ、可笑しさとなって作品の雰囲気を彩っています。
びっくりするほど大家族のねずみ一家を見たら、大人はやっぱり悲鳴をあげてしまうかもしれません。
でも人間の子どもたちは「どうしてねずみをたいじしなきゃいけないの?」「なにもわるいことしてないのに」と不思議がります。
ねずみを見守り、ひそかにこねずみたちと通じ合う子どもたちの姿を見ていると、なんだかほのぼのとして嬉しくなっちゃいます。
この絵本を読む子もきっとうらやましくなるでしょう。
さりげなく、ぴったりと子どもの気持ちに寄り添う、ジョン・バーニンガムの素晴らしさが存分に発揮された一冊です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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