表紙で、トナカイにりんごをあげている金色のおさげの女の子。毛皮の靴と、赤いとんがり帽子がよく似合います。
この子の名前はオンヤ。毛糸の帽子と手袋が1年中手放せないくらい寒い北の国に住んでいます。オンヤの夢はサンタクロースのお手伝いをすることです。
もうじきクリスマスのある日、
「そうだ、サンタクロースに あいにいこう。おてつだいを しますって いいにいこう。」
オンヤは、家を出て、真っ白な世界へサンタクロースを探しに向かうのです。
全編、写真で綴られる、クリスマスの絵本。
写真を撮っているのは、ナショナルジオグラフィックやニューヨークタイムズ紙で写真が掲載されている、写真家のペール・ブライハーゲンさん。主に、南極やグリーンランドなど、雪と氷の世界の写真を撮影しています。そして、文章を書いているのは、広告や雑誌でスタイリストとして活躍するロリ・エベルトさん。二人は、本に出てくるオンヤの両親で、娘のオンヤとトナカイが一緒にいる姿からインスピレーションを受け、この物語を考えたんだそうです。
絵本の中のオンヤは、旅の途中で様々な動物たちに出会い、行動をともにします。ウマや、ジャコウウシ、しろくま、トナカイ・・・。写真の中で、動物と寄り添うオンヤの姿は、まるで映画のワンシーンを見ているよう。本物?フィクション?と戸惑ってしまうほど、精巧に作り上げられた美しい画面が、物語を紡ぎます。
真っ白な森、氷の世界の動物の目の鋭さとあたたかそうな毛皮。そして、真っ赤なほっぺたで、雪の中を行くオンヤの可愛いこと!
絵本をめくる子どもたちは、荘厳な雪の世界に思いをはせて、ワクワクドキドキしながらサンタクロースの登場を待つことでしょう。
クリスマスが来るたび本を開きたい、新しい定番になりそうな、クリスマスの絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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