表紙にまじめな顔の黒いでんしゃ(きかんしゃ?)。
うしろの車両は空っぽです。
がたん ごとん がたん ごとん
「のせてくださーい」とミルクの哺乳瓶。
でんしゃは、ちょっぴりうれしそうな顔でミルクをのせてはこびます。
がたん ごとん がたん ごとん
そこへ、赤いカップとスプーンが「のせてくださーい」。
がたん ごとん がたん ごとん
のせるものが増えていくたびに、でんしゃがますますまじめな(がんばっている?)表情になるのがかわいらしい。
エプロンをした女の子のところまでお客さんをはこびます。
でんしゃの音と「のせてくださーい」の繰り返し。
最後は「しゅうてんでーす みんなおりてください」とでんしゃは行ってしまいますが、読み終わるとすぐ「もういっかい!」(あかちゃんは「ん!」と本をたたいたり)の声がかかり、たいていまた最初から「がたんごとん・・・」とエンドレスで読むはめになる絵本です(笑)。
子どもって、シンプルな繰り返しの絵本、大好きですよね。
よびかけて、こたえがあって。それが繰り返される安心感。
まっさらな心のつぼを刺激されるのかもしれません。
作者は、才人、安西水丸さん。
1970年代頃はデザイナーとして注目されながら、その後イラストレーターに転身。
マンガ、小説やエッセイなどの分野でも才能を発揮されています。
白・赤・黄・緑などきれいな色のくみあわせや、安西さんらしい、でんしゃのほのかな表情の変化がたまりません。
1987年に発売以来、男女のあかちゃんを問わず、ずーっと人気があって売れつづけている絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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