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あきの誕生をじっと座って待っているこの子は、ぬいぐるみのこん。遠く離れた「さきゅうまち」に住むおばあちゃんに頼まれて、あきのお守りにやってきたのです。
赤ちゃんのあきの可愛さに胸がドキドキするこん、あきのお守り役、遊び相手として大活躍するこん。そのうちに、あきがこんの背を追い越し、古くなったこんの腕がほころびると、おばあちゃんに直してもらおうと、こんはあきを連れ、きしゃに乗って出かけます。
健気なこんは、なかなか頼もしい存在です。でも、小さなぬいぐるみのこんとの二人旅。何事もなく到着するわけもなく…次から次へとハプニングが起き、読んでいる方はハラハラ。当たり前ですよね、子どもたちには大冒険です。はぐれてしまったり、こんのほころびがひどくなったり。二人の心情が手に取るように伝わってきます。大丈夫かな、ちゃんとおばあちゃんのところにたどり着いたのかな。
読み終わってみれば、誰もが安堵と幸せな気持ちに包まれるこの絵本。「こんとあき」の世界にすっかり引きこまれていたことに、後から気付くのです。表情がないはずのこんから沢山の感情を感じとったり、守られているだけのはずだったあきちゃんの必死で踏ん張る姿を垣間みたり。二人の前に広がる砂丘の風景も忘れられません。そして全体を通して感じるのは、二人を取り巻く家族の大きな愛情です。作者の優しい眼差しです。なんて魅力的な絵本なのでしょう。
大人になっても忘れることのない「あの頃」の気持ち。絵本を開く度に思い出させてくれる1冊でもあります。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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こんは、おばあちゃんが作ったキツネのぬいぐるみ。ある日なかよしのあきとふたりで、おばあちゃんに会いに行くことになりましたが……。幼い子の心をとりこにする魅力あふれる絵本。
【金柿パパ】 おばあちゃんが孫の「あき」のために作ったきつねのぬいぐるみ「こん」。ある日「こん」の腕がほころび、おばあちゃんに直してもらうため、二人で列車に乗って旅に出る。物語では語られないが、こんは亡くなったおじいちゃんのオーバーをほどいて、おばあちゃんが作ってくれたという設定。僕はこのエピソードを知ったとき、グッときてしまった。離れていてもしっかり孫を見守っている、祖父母の深い愛情が感じられる名作だ。
この絵本には、たくさんの素晴らしいものが、たくさん、たくさん詰まっています。ここには、とても書ききれないくらい・・。
ただのきつねのぬいぐるみであるこんが、どんな時にも忠実にあきを守ろうとする姿に胸を打たれました。
それは、きっと自分を作ってくれたおばあちゃんが、最初にあかちゃん(あき)のお守りをたのんだからでしょう。腕がほころんでも、しっぽを電車の扉に挟まれても、犬にやられてあきの言うことがよくわからなくなっても、どんな時でも自分のことより、あきが不安にならないように「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言って気丈に振舞います。
でも、あなたは、あきよりも小さなぬいぐるみなのに・・・。もう、胸がきゅんとなり、どうか助かりますようにと、祈らずにはいられなくなりました。
優しい、優しいおばあちゃんになおしてもらい、後はお風呂に・・・というところで、今まで見せたこともないほど、慌てて、お風呂を嫌がって逃げるこんが、すごくかわいくってたまりません。
登場人物の表情、質感がどれも見事で、瑞々しく、いとおしくなります。特に、私は、あきが電車の窓に、ほっぺをぺたっとくっつけて、こんが戻って来るのをじーっと待つ姿。彼女の内面の不安が見事に描かれています。
林明子さん、どうしたらこんなに優しい絵が描けるのですか。
ただ、ただ、親子で大満足です。本当に心がぽかぽか温まる素晴らしい絵本でした。 (はなしんさん 30代・ママ 女の子5歳、男の子3歳)
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