「ママは くるまに ぶつかって、おばけに なりました。」
と物語ははじまります。
おばけになったママは、悲しむ息子のかんたろうが心配でたまりません。
夜、ママはかんたろうの前に現れて、ふたりはいろいろな話をします。
「とべるの?」
「いくらだって とべるわよ。ママなんて、ホラ、みて! わきばらの おにくで とんじゃうんだから」
「ふとってる! やっぱり ママだ!」
おばけになったママとかんたろうの掛け合いは、のぶみさんの作品らしい笑いにあふれています。
けれど、ママと話すうち、かんたろうは途中でこらえきれず泣き出します。
「ぼく、どうすれば いいの? ママがいなくなるのなんて いやだあ! うわあああ!」
「ママだって どう すれば いいのか わかんない!」「うわあああ!」
そして、ママとかんたろうは、お互いの気持ちを伝え合うのですが・・・。
ママが死んでおばけになっちゃった!という、今までにないインパクトのある設定の絵本。
だけどこの絵本は、ただママが死ぬという話じゃない、と、作者のぶみさんは語ります。
「『このこ、わたしがいなくなったらどうなっちゃうの?』という思いは、ママなら誰もが抱くこと。
それを親子で考えてみてほしいんです。 子どもは、ママがいるのがじつはあたりまえじゃないってことに気づいてほしい。
絵本の中で、一回でもママがいなくなる(擬似)体験をする。そうすることで、”ない”を見つけるから”ある”を感じるってこと。
ママもこの絵本を読んで、子どもと一緒にいることがどれだけ幸せか改めて感じられると思います。
お互いの大切さを感じてほしい、そういう思いがこめられています。」
大切な人に大切と伝えてほしいという、のぶみさんのシンプルで熱い思いがつまった絵本。
話題の一冊です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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