登場するのは、たくさんの丸。
「ぷーん」「ぷくぷく」「ごぶごぶ」「じゃわー」
不思議な擬音と共に、その大きさや色、並び方を次々に変化させながら現れます。一体これは何なのでしょう。わからないけれど、強烈に惹かれる何かがあるのです。
青や白、水色や黄色や赤といった鮮やかな色の組み合わせを使い、一目でそこにあるとわかる丸たちが、画面上を生き生きと動き回ります。時には小さくバラバラに、時には重なり合い、連なっていたり、大きく画面からはみ出したり。さらに驚くことに、どのページにも丸い穴があいていて、めくるたびに不思議な効果を生み出します。
そして、何度も声に出しながら読んでいるうちに、どこか共通の感覚が見えてきます。これはもしかして…水の中? これは泡の形? 見れば小さな子どもたちは夢中になって丸を追いかけ、穴に指を入れ、音を真似しています。どうやらテーマは「お母さんのお腹の中」。なるほど、納得。どこか懐かしいこの音の響きに、赤ちゃんは大人が思っているよりもじっと聞き入っているのかもしれませんね。
グラフィックデザイナーとしても世界的に活躍をされている駒形克己さんが、初めて手がけられた赤ちゃん絵本というのがこの作品。まだ視力もおぼつかない赤ちゃんが、どんな形や色に、そして音や展開に反応するのだろうか。丁寧に考え作られているからこそ、きっと今でも愛読され続けているのでしょう。
読み聞かせにまだ自信がないという方も。ためらわずに、是非ためしてみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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