
海を見渡す丘の上にたたずむブランコ。そこには、いのちが、夢が、物語が、満ちている――。はしゃぐ子どもたち、夕日を見つめる老人、将来を夢見る少年……訪れる人びとのささやかで特別なひとときを、淡く輝く絵と詩情豊かな言葉で紡ぐ。人気絵本作家による静かな感動を呼ぶ絵物語を、作家・梨木香歩の端正な翻訳で贈る。総ルビ。

最後にブランコをこいだのはいつだったろう。
まだ小さかった娘と一緒だったかもしれない、どこかの公園の小さなブランコで。
立ち漕ぎを競った子供時代、怖いのに意地を張って高く、たかく。
そして、飛ぶ!・・・。
ドイツで生まれイギリスで育ったブリッタ・テッケントラップさんは、
これまでに120冊以上の絵本を手がけてきた人気絵本作家。
この『ブランコ』は2023年に刊行され、
2025年の秋『西の魔女が死んだ』など多くの作品を書いてきた梨木香歩さんによって翻訳された絵物語。
読み終わったあと、静かに本を閉じれば、きっとこんなことを思うはず。
最後にブランコをこいだのいつだったろう?
物語の主人公は海辺の丘にたたずむブランコ。
そこを訪れるさまざまな人々。小さい子もいれば、人生の終わりを静かに迎える老人もいる。
「よろこび しあわせ そして 笑いごえ・・・」。
梨木さんの日本語の、なんという優しさ。柔らかさ。
季節は移ろい、動物たちもやってきて、花々も咲き、枯れ、人は成長していく。
出会いと別れ。
「わくわくする はじまりの予感・・・」
梨木さんは裏表紙にこんな一文を寄せている。
「人びとの記憶のなかにあるブランコは、優しいふるさとのようにそのひとを包みこむ。」
もしかしたら、ブランコを漕ぎながら、こんな約束をしなかっただろうか。
また、このブランコで会えたら、いいね。
読み終わったあと、詩人のように話したくなる、そんな美しい絵本でした。 (夏の雨さん 70代以上・パパ )
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