電車が来ます。
一面広がる田んぼの景色に、踏み切りに、鉄橋に。
電車が走ります。
とことこ走る一両編成の電車、あちらこちらと交差する都会の電車、特急は目の前をびゅわー!と走り抜けて。
今日でさようならをする特急列車も…。
この絵本で描かれているのは、たくさんの「電車のある風景」。
それはもう、電車が好きな人ならばページをめくっていくだけで、胸が高まっていく景色ばかり。
そして、何気なく利用している日常の駅の風景をも丁寧に描き出します。
通勤列車の混雑、地下鉄の駅、真夜中の終電列車。
どのページでも共通しているのは、周囲に描かれている人々がみんな笑顔だということ。
たくさんの電車がそれぞれの場所を走る。そこには色々な人が関わり、生活やドラマがある。
「ああ、日本の電車っていいなぁ。」
思わず口に出してしまいそうです。
当たり前のことが当たり前にあることの大切さ。
たくさんの電車絵本を制作されてきた竹下文子さん、鈴木まもるさんの作品だからこそ、電車の姿を通して感じさせてくれるのかもしれません。
そして最後に私たち読者を喜ばせてくれるのは、今年1年を通してテレビでも夢と希望を見せ続けてくれたあの鉄道!!
「みんな みんな まっていたんだ。きてくれて ありがとう。」
読み終わった後、きっと誰もが同じ気持ちになっているはずです。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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