くまのとうさんとくまの子の、ちょっとした日常のものがたり。
いつもと変わらない日なんだけど…だけど、いつもよりたくさんどきどきしたから、くまの子にとってはきっと特別な時間。
そんな時ありますよね。
遊園地に行ったわけでもない。プールに行ったわけでもない。
どこかとびっきり楽しいところに連れて行ってもらったわけじゃないんだけど、何だか忘れられない日。
それがとても共感しやすく描かれているお話しなのですが、このお話しこそが、私にとって「特別」な時間を思い出させる一冊です。
「くまのお父さんの声って、きっともっと低くてゆっくり喋ると思うよ。」
国語の教科書『えいっ!』の音読を練習する私に、そう言ってアドバイスをしてくれたのは母でした。
当時の私は小学1年生で、授業で音読の発表をするために、家で何度も何度も練習しましたっけ。
今思うと、母はよくも飽きもせずに聞いてくれたなぁ…。
クラスメイトの前で、くまのとうさんとくまの子のセリフを、声色を分けて読むなんて、どんなに勇気を振り絞って読んだことか。
あの時の、恥ずかしながらも読んだドキドキ、今でも手に取るように覚えています。
(男友達に声色を変えることを真似されて、悔しくなったのも覚えています。)
そんなエピソードはすっかり忘れていましたが、高畠純さんの絵で絵本になること知り、鮮明に思い出がよみがえりました。
嬉しくて、ちょっぴりうるっとしてしまったり。
声色を変える練習ばかりしていたので、物語の終わり方を忘れていましたが、やっぱり最後は…お母さんなんですね。
くまのとうさんとくまの子のお話しですが、私にとっては”母子のものがたり”。
今度は自分の子どもに、絵本『えいっ!』を渡して、声色を変えて読む練習、一緒にしたいな。