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衣類は貴重!手間がかかっています
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投稿日:2025/05/13 |
ラオスのモン族の少女が、麻を栽培して収穫し、糸を作り、布を織り、スカートに仕立てるまでを紹介する絵本。
2004年刊行。文・写真を担当した安井清子さんは、長年、タイの難民キャンプとラオスで子ども図書館活動に携わっている。
現地の子どもたちの暮らし、女性の仕事や気持ちがみずみずしく伝わって来る。元気いっぱいに遊びまわる子どもたちは、家の仕事もあたりまえに手伝い、大人たちから教わって、伝統的な仕事を覚えていく。
本書では現地で撮影した写真も見られ、人々の暮らしが生き生きと感じられる。
モン族の女性は自分の着るものを、自分でつくる。
自分でスカートを作り、自分で刺繡をして、模様をデザインする。新しいスカートを下ろす時は、嬉しい気持ちで一杯。結婚式などの特別な時も、新しいスカートを下ろしたりするという。
着る物で気分が上がる女心が伝わってきて、親近感を覚える。やっぱりお洒落は嬉しいのだ。
いろんな環境や文化を知る社会勉強になるし、手芸やクラフトが好きな人は創作のヒントになるかもしれない。
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共に生きるということを見せてくれる
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投稿日:2025/05/09 |
小学校2年生の時に、地方の島に引っ越した少年が、自閉症の子どもと、クラスメート、学校の先生や保護者などと共に暮らす様子を描いた作品。
2014年刊行。自閉症の息子をもつ母親や、同級生が自閉症だった人など、当事者と関係者たちの経験談を丁寧に取材した様子が巻末資料に書かれている。
本書は、障がい者理解などのテーマが、表紙からは感じられない。話を読んでいるうちに、自然と自閉症の人と、周囲の人の関わり方を知っていく。
実に自然に、障がい者が周囲に溶け込んでいる様子が印象的だ。小さいころから、自閉症の「やっくん」がいる環境で育ち、先入観もないので、「やっくん」との接し方がみんなわかっている。やっくんは、特別クラスに分けられていることもなく、みんなと一緒に遊んだり、勉強したりしていて、学校を卒業して、就職もできている。
普通の風景の一部になっているところが、よいと思った。
巻末資料に書いてあった「人は知らないことは怖いと避けるので、とにかく出会いふれあって、知ってもらうことが一番」(特に子どもの時に)
という言葉通りだと思った。
慣れてしまえば、自分と違うことを受け入れたり、うまくやっていくことができるようになると思いました。
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民話の面白さは普遍的だ
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投稿日:2025/05/05 |
世界各国の民話を33篇収録。
イギリス民話の「トランプ王国バラ物語」から、アイヌ古話「くまの神様 ブドウの神様」まで、いろんな国や民族の昔話を楽しめる豪華な本。
昔は、各地で戦争をしたり、自然災害や病気など、いろんな脅威にさらされながら人々が生きていたことがわかる。
物語の中に出てくる怖い存在(猛獣や怪物など)を、当時の人はどのようにとらえていたのだろうか?
また、今では自然現象だと解明されているものも、昔の人は神様や不思議な存在の働きだと信じていたようで、面白い。
教育的な内容のものもあるが、あくまでエンターテイメントとして楽しまれていたお話なので、愉快さがある。
今の時代は、いろんな物語が世の中に溢れているけれども、大昔から語り継がれてきたお話には、また別の魅力があり、力強さが感じれるし、不思議な吸引力がある。
一話読みだすと、次々読んでみたくなる。
大人が読んでも十分面白い。
漢字にルビがふってあるので、誰でも楽しめるようになっている親切な本。
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ビックリ仰天
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投稿日:2025/05/01 |
多くの植物をしている「光合成」をやめて、他の生き物から栄養を奪う生き方を選んだ植物たちを取材した写真絵本。
2023年刊行。著者は長年、光合成をやめた植物「菌従属栄養植物」を研究し、多くの新種を発見・発表してきた。その他の動植物やキノコの研究者でもある。
光合成をする、という仕事のためにいろんな形や、生き方の「縛り」があることを、初めて知った。
植物といえば、緑色。しかし、光合成をやめたら、色は何でも良くなった、という。大きさや形も、一般的な植物のイメージとは程遠いものが多く紹介されている。同じ仲間でも、光合成をするツツジと、光合成をしないギンリョウソウでは、まるで違った生きもののように見える!
写真ならではの迫力と、宇宙から来たエイリアンのような不思議な形がじっくり楽しめる。
世の中には、まだまだ知らない面白い世界があるとわかって、刺激的な一冊。
神秘的な写真を見ているだけでも、なかなか楽しめるので、年齢問わず本を開いて見て欲しい。
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唱和のかほりの和式ミステリ
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投稿日:2025/05/01 |
2007年刊行。ミステリ短編2編を収録。
・IgE 著:島田荘司「御手洗潔のメロディ」(講談社文庫)
2002年
・クイーンの色紙 著:鮎川哲也「クイーンの色紙」(創元推論文庫)2003年
2作とも、深刻な問題や、陰惨な事件は起こらず、ちょっとドキドキする程度の軽い事件を謎解きするお話。
読みやすい、わかりやすい、キャラクターの個性がハッキリしている。ミステリものをあまり読まない人でも、無理なく楽しめる娯楽小説。
唱和の、まだ携帯電話が普及していなかった時代にいるような印象。発表されてから20年以上たっている作品なのに、ちゃんと楽しく読める!
特に、「IgE」は、漫画のようなわかりやすい登場人物ばかり出てくるので、ミステリ系のアニメでも見ているかのような親切設計。探偵が癖のあるタイプで、シャーロック・ホームズのパロディみたいな感じだった。
もう一方の「クイーンの色紙」は実話っぽい雰囲気だ。
創作だと思うが、前半部分は、いかにも本当にありそう。妙にリアルな感じが面白い。
安楽椅子の探偵系。現場に行かないのに、どうして全部わかったのか、最期の推理の場面が神がかっていて爽快だ。
怖くないので、誰でも読めると思う。
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人とハチの関係
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投稿日:2025/04/28 |
日本のクロスズメバチの一生の様子、いろんな行動、ハチの仲間や周囲の環境などを取材した写真絵本。
2005年刊行。人の住む村の近くの雑木林などで暮らしている昆虫の様子を長年観察していると、人の暮らし方が変わっていくとともに、昆虫たちも影響を受けて数を増やしたり減らしたりしていることがよくわかる。
昔の日本人の暮らし方は、家の近くの雑木林でいろんな資材・食料を採取したり、森の手入れをしたりしていた。
虫を食料にしたりなど、自然の生き物との関りが深かったことがよくわかる。
スズメバチというと、危険という印象ばかりが強くあったが、本書を見ていると、虫には虫の生活があり、虫の世界も生き残るために大変だとわかる。健気に巣を守ったり、働いたりするハチをみていると、かわいく思えてくる。
滅多に撮影できないであろう、すごい写真も多くあって
見るだけでも刺激的な本だ。
昆虫の世界をしることで、人間としての生き方や、環境への配慮、社会への関心や関わり方を、改めて考えさせられる。
大人でも楽しめる本。
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もめごとを平和に解決するサル
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投稿日:2025/04/22 |
アフリカにすむチンパンジーに似た類人猿「ボノボ」の性質や、現地でのくらし、地元の人間たちとの関り、社会情勢や環境問題などを書いた本。
2008年刊行。アメリカで出版されたボノボの本を翻訳・出版する経験をした筆者は、ボノボの面白さをテレビ番組に売りこみ、更に多くの人に知ってもらうために、自分で本を書いた。
揉め事を性行動で解決すること、他の類人猿と違った穏やかな性質、女性のボノボは自分が生まれた群れから出て別の群れで暮らす…など、ユニークな性資がいろいろ紹介されている。
また、3人の女性の動物研究者たちの活動や、ボノボの保護の取り組み、現地の様々な問題なども書かれてあり、単に1種類の珍しい猿の紹介にとどまらない広いテーマを扱う。
本書を読んでいると、人はどのように生きたらよいのか考えさせられる。環境や野生動物の保護と、人々の暮らしが対立せずに、お互いに適切な距離や関係を持ちつつ暮らしていけるようになるには、どうするのがベストだろうか?
読み応えのある本なので、年齢問わずに読んでもらいたい。
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1957年刊行。心温まる人形劇。
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投稿日:2025/04/09 |
何不自由なく暮らしていた一人ぽっちのお人形が、お友達を得る物語。
原作:1957年刊行。写真家・モデルを務めた筆者が、子どもの頃から持っていたお人形「エディス」に、二頭のクマのぬいぐるみを加えて作った写真絵本。
原作:デア・ライト(1914〜2001)
今のように便利な道具やIT技術がなかった時代に、お人形をまるで生きているようにみせる撮影技術やアイデア、センスが素晴らしい。全部アナログで作っているところは、今の世代の人には逆に新鮮に映るかもしれない。
人形劇が流行ったころに子ども時代を過ごした世代には、かなり懐かしい感じを受ける作品。
主人公のエディス(少女)の表情が、本当にこういう子どもが居そうな感じで素敵だ。ちょっと冷たいように見えるが、実はとても寂しがり屋で、孤独な少女。
アメリカ、という土地柄か、とても大胆なことをしでかして面白い。50年代のアメリカの、孤独な少女の魂が、2025年の日本に届いた。感慨深い。
ハッピーエンドのお話なので、安心して人に勧められます。
写真を見るだけでも、当時の素敵な雰囲気が楽しめます。
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女子の心をきめ細かく描いたリアルな物語
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投稿日:2025/04/04 |
クラスで目立たない存在の小学校4年生の女子が、自分とは正反対の仲良し女子グループとの関係を通して、自分を見つめていく物語。
2013年刊行。小学校時代に、「仲良しグループ」に入る、入らないという体験を通して、人間関係の難しさを知った人は多いと思う。私も、本作品の少女のような引っ込み思案なところや、他の人にはあまり理解されない感性、その他諸々あって、なかなか学生時代は大変だった。
子どもにとって、「友達の輪に入っている」「仲間外れになっている」というのは、死活問題だ。
更に、女子特有の意地悪さ、見栄の張り合い、劣等感による様々な問題などが、実に生々しく、容赦なく描かれている。
よく人の心や様子を観察している作家だなと思った。
主人公は、一匹のひよこを飼うことで、自信を取り戻したり、信頼できる人を見分けられるようになったりする。
本書で描かれている通り、本当に素敵な人は案外地味だったり、独自の道を歩んで満足しているから、人と変に争わなかったりする。
どんな人と付き合ったらよいか、本書はとても参考になると思った。
大人になっても、本書のような過酷な人間関係と自分の劣等感と闘っている人は多いと思う。いろんな年代の人に、人間関係や、生きること、命の尊厳について考えさせられる力がある物語だと思った。
とはいえ、説教臭くなく、ドラマチックで面白く読了できたのは、作者の素晴らしい力量だと感心した。
読み応えがある。
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愛と笑いと涙のボス猿一代記
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投稿日:2025/04/01 |
大分県にある猿を観察できる場所:高崎山自然動物園。お寺の境内(万寿寺別院)にある「サルの寄せ場」で有名になったボス猿「ベンツ」の、生い立ちを取材した。
2014年刊行。ニホンザルの被害に遭っていた住人・農業を守り、サルと人間の共生を目指した取り組みが、この自然動物園の始まりだとか。
本書で登場する「ベンツ」は、歴代のボス猿の中でもひときわ楊烈な個性・伝説を作っていった。喧嘩好きで乱暴で、メスサルにも猛烈にアピールし、のし上がり、ボスになって群れを率いた。恋愛スキャンダルで失脚したり、行方不明になったり、いろんな騒動も巻き起こし、圧倒的な存在感を放った。
まるで任侠映映画を見ているよう。
筆者も取材・執筆していて楽しかったのではないだろうか。
本書はベンツの一生のみならず、ニホンザルの暮らしぶりや習性、地域の特徴なども書かれてある。面白く読んでいるうちに、ニホンザルの生態に詳しくなってしまう。
本書を読んだ後は、動物に対しする見方が変わる。
野生の動物、群れでくらす動物たちも、なかなか大変な仕組みの中で生き抜いていると思うと、尊い。
ぜひ、高崎山に行ってみたい。
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