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ヒラP21

その他の方・70代以上・千葉県

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自己紹介
子どもの通う小学校の読み聞かせをスタートに、絵本の世界に飛び込んだ私ですが、いつの間にか子どもは親離れ。
私だけが絵本の世界に残ってしまいました。
小学校、中学校での読み聞かせをベースに、障害者関連施設、高齢者福祉施設と新境地を開拓中です。

読み聞かせおすすめコーナー

公開

ヒラP21さんの声

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自信を持っておすすめしたい 残留日本兵と少年   投稿日:2011/09/04
ケンスケの王国
ケンスケの王国 作・絵: マイケル・モーパーゴ
訳: 佐藤 見果夢

出版社: 評論社
家族で世界一周の航海を続けていた少年マイケルが、ヨットから海に投げ出されてたどり着いたのは旧日本軍残留兵ひとりが住んでいる小島でした。
愛犬ステラと二人での漂流生活が、一人の日本人に支えられました。
マイケルに距離を置く日本兵ケンスケは、通りかかる船に助けを求めるマイケルの邪魔をします。
自らはこの島に住んでいることを知られたくないのです。
密猟者からオランウータンを守るケンスケ。
クラゲに刺されてひん死の状態になったマイケルを助けるケンスケ。
マイケルとケンスケが共同で生活を始めると、この旧日本兵の実像が明らかになってきます。
マイケルの言葉に気持ちを動かし、日本帰国を考え始めるケンスケでしたが、最後にはマイケルに10年間は自分の存在を公表しないでほしいと約束して、自らは島に残るのでした。

これは、戦後30年も過ぎた後にフィリピンで発見された旧日本兵の横井庄一さん、小野田寛郎さんにヒントを得た物語です。
しかし、ケンスケはこの二人と違って、敗戦を知りながら長崎原爆で家族は死んだのだとのあきらめから一人静かにこの島で生きていくことを決めているのです。
これは愛国でも、軍人訓に記された「生きて帰ることの恥ずかしさ」でもありません。
この世捨て人状態と旧日本兵像を重ね合わせるのには少し違和感を覚えましたが、二人のまったく違う人間の共存をテーマとして展開される物語は、心の動きと互いの駆け引きが強く心に残りました。

物語の前半はマイケルが両親と三人でヨットで世界一周の航海をするに至った経緯と、そのアドベンチャーが書かれています。
そこに出てくるのは家族の絆。
物語の結末で家族の絆は回帰するのですが、ケンスケの家族に対する思いもダブルテーマとして印象深いのです。
ケンスケと家族の絆。
長崎に残した妻も子も生きていたのです。
マイケルはケンスケと約束した10年を経てから、ケンスケの家族と連絡を取ります。
父の記憶のないオガワ・ミチヤ。
ケンスケの妻もマイケルが「ケンスケの王国」にいたころは健在だったのです。
この物語でケンスケの家族については余韻を残すだけです。

ケンスケのその後と彼の家族のこと、マイケルのその後。
モーパーゴは、その後の話については読者にゆだねたようです。
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自信を持っておすすめしたい 兄貴になる期待感   投稿日:2011/09/04
あかちゃんがやってくる
あかちゃんがやってくる 作: ジョン・バーニンガム
絵: ヘレン・オクセンバリー
訳: 谷川 俊太郎

出版社: イースト・プレス
ジョン・バーニンガムは好きな作家ですが、あの奔放な絵のイメージとは違和感を覚えたのです。
なんと夫婦共作だったのですね。
ヘレン・オクセンバリーは『きょうはみんなでクマがりだ』や『三びきのかわいいオオカミ』で、楽しい絵とちょっと観点を変えたもののとらえ方で気になっている作家でしたが、この初共作には驚きを感じました。
この作品は奥さんの絵でなんとも楽しいお話ですが、バーニンガムが絵を描いていたら印象は随分と違っていただろうなと思います。

「あかちゃんがくるのよ」とお母さんが坊やに話すところから話が始まります。
坊やにとっては未知の世界。
いろんな疑問や、想像がわいてきます。
次第におなかが大きくなっていくお母さんと坊やとのコミュニケーションが見事。
坊やの想像する世界も見事。
現実の世界と夢の世界の描き方にさりげない技巧を加えたオクセンバリーさんの描き方が、とても素晴らしいのです。

坊やは生まれてくる妹か弟にいろいろな夢を見ます。
楽しい夢、不安な夢…。
そして、いよいよ赤ちゃんが生まれるときには、おじいちゃんに得意そうに自分の見た夢を話します。

ところで、この絵本が見事なだけにちょっと不安を感じてしまいました。
お父さんの姿がどこにも見えてこないのです。
これってバーニンガムさんの世界ではないような気がします。
ストーリーには母子家庭だというメッセージが入っていないので、絵の中にお父さん自身かお父さんの存在感を描いても問題ないと思うのですが。
バーニンガムさんの『アボカド・ベイビー』を再読して、その違いを再確認。

父親としては、お父さんの印象があまりに薄いことに寂しさを覚えた次第です。
参考になりました。 2人

なかなかよいと思う スタルクのピュアな恋物語   投稿日:2011/09/03
ゴールデンハート
ゴールデンハート 作: ウルフ・スタルク
絵: エンクヴィスト
訳: オスターグレン 晴子

出版社: 偕成社
スタルクの作品を読んできた中で意外感のある作品です。
内容は少年ルードヴィヒが一目ぼれした少女カタリーナに思いが通じるまでの、甘酸っぱい恋物語。
カタリーナに心を奪われてしまったルードヴィヒは、何とかして自分の本心を受けれてもらいたいと、いろいろなプレゼントをします。
それでもカタリーナはなかなかイエスと言ってくれません。
それは、カタリーナの両親が間もなく離婚するから。
自分にはずっと続く愛が欲しい。
ルードヴィヒの親も離婚して、現在は母子家庭です。
カタリーナの気持ちはわかります。
ピアノコンテストの前にして練習に集中できないルードヴィヒは、コンクール当日に突飛な行動に出ます。
とても映画的でロマンチックで、お話はハッピーエンド。

この作品の意外性は、ウルフならではのサービス精神が抑えられていることです。
一つは笑い。
私はウルフの作品のドタバタが好きです。
一つは背景の深堀。
この作品では、お互いの家庭環境があまり見えてこないのです。
最後にキーとなるメロディ。
ルードヴィヒがコンクールで弾いた曲、カタリーナの口ずさんでいた曲は何だったのでしょうか。
普段なら種明かししてくれているのですが。

この作品には、じらされてしまいました。
それだけ、二人の恋物語がストレートに描かれています。
他の読者はどう評価するでしょうか。
参考になりました。 0人

自信を持っておすすめしたい 「三枚のおふだ」ですが   投稿日:2011/09/03
日本みんわ絵本のシリーズ にげだしたおにばんば
日本みんわ絵本のシリーズ にげだしたおにばんば 作: 中村博
絵: 石倉 欣二

出版社: ほるぷ出版
読んでみるとお話はまさに「三枚のおふだ」ですが、石倉欣二さんの羽目を外した絵が思い切り楽しいと思います。
そしてこのタイトルの「にげだしたおにばんば」。
三枚のお札の効用で助かった小僧さんでしたが、寺まで追ってきたおにばんばが実は和尚さんの機転でにげだしたのだという最後の盛り上がりでナットクです。
何冊もある「三枚のおふだ」の絵本ですが、昔話の共通性と絵本の味わいの違いを感じるのも絵本探しの楽しみだと感じる一冊です。
参考になりました。 0人

自信を持っておすすめしたい 思い出の一冊   投稿日:2011/09/02
ちびくろ・さんぼ
ちびくろ・さんぼ 作: ヘレン・バンナーマン
絵: フランク・ドビアス
訳: 光吉 夏弥

出版社: 瑞雲舎
懐かしさと、何が問題で出版禁止になったんだろうという思いで読み直しました。
子どものころ親しんだこのお話は、トラが木の周りを走り回ってバターになってしまったことがとても印象的で心に残っているのです。
自分の学生時代のころ、絵本の中の差別問題、弱者蔑視問題が取りざたされて、この『ちびくろ・さんぼ』や『ピノキオ』などが取りざたされて絵本の不遇の時代があったと記憶しています。
「さんぼ」は黒人に対しての差別用語、黒人からすると奴隷制度を思い起こさせる忌み言葉だと知りました。
カルピスのシンボルマークが変わったのもその頃。

お話は、そんな差別意識とは全く関係ありません。
父親はジャンボ、母親はマンボ、そして子どもはサンボ。
サンボがさんぽに出かけた先に現れたトラ。
トラに順番に自分の持ち物をとられる羽目になります。
リズミカルでパターン的で幼児から楽しめるお話。
トラがバターに変わる展開や、それでホットケーキを作って食べる話、子どもの心をつかむ要素をもっている話です。
三人の食べたホットケーキの枚数もちょっと意味深で心に残っています。

この絵本を読みながら、絵本や児童書を大人の思想で捻じ曲げてはいけないことを思いました。
絵本の可能性を考えるときに、大人の統制や思想の押し付けではなく、子どもが自由に感じることが本読みにとってとても大切なことだと思いました。
参考になりました。 3人

自信を持っておすすめしたい 道成寺の縁起物語   投稿日:2011/09/02
かみながひめ
かみながひめ 作: 有吉 佐和子
絵: 秋野 不矩

出版社: ポプラ社
ふと手にした絵本の文章は有吉佐和子。
大家の多分唯一の手掛けた絵本作品でしょうか。
人間描写に深みと艶のある小説を手掛ける作家にして、自分流の文章をそぎ落としていくとともに、自分の文体を失わない作業は大変だろうと思いつつ、非常になじみやすい物語だと思いました。

生まれながらに髪の生えない女の子。
女にとって「髪は命」なのですね。
我が子の頭を不憫に思った母親が、自分の因業に報いるためと、漁を妨げる「ひかりもの」を取りにと荒海に一人飛び込みます。
ひかりものは金の観音様でした。
海の荒れは治まりましたが、母は死んでしまいます。
それから娘の髪は伸びはじめ身の丈以上になっていきます…。

その娘が髪が縁で京に上り天皇家に迎え入れられ、文武天皇の妃になり聖武天皇の母となります。
歴史小説をものとする有吉さんを考えると、ひょっとして「かみながひめ」を題材とした長編小説があるのでしょうか、歴史の重さにそったお話でした。
秋野不矩さんの絵も日本画家の大家として、寺社縁起にたがわない趣と落ち着きのある絵で物語に気品を加えています。

先に読んだ『道成寺』にまつわる伝奇に加え、道成寺の縁起ということで紀伊の名刹の知識が増えました。

余談ですが、この本を手にしたのは図書室で『ラプンツェル』のそばに配架されていたから。
『ラプンツェル』の日本版と勘違いしてしまいました。
「かみながひめ」が塔に閉じ込められていたら、天皇家は途絶えていたのですね。
関係者各位、神聖な名作に対して、不謹慎な動機で申し訳ありません。
参考になりました。 0人

自信を持っておすすめしたい 絵本の見かた   投稿日:2011/09/02
大人が絵本に涙する時
大人が絵本に涙する時 作: 柳田邦男
出版社: 平凡社
大人のための絵本選び、絵本を通してのものの見方について考えさせられる本だと思います。
先に絵本選びの感覚で読んだ本ですが、収録されている絵本のいくつかを読んでから再読したらこの本が単に絵本紹介ではないことを再確認しました。
柳田邦男さんは事実を見る目、事実の考え方等社会への視点をしっかりもった者の書き方をする作家です。
あるいは自身が実生活の中で苦痛を克服してきた経験が、道徳観念についても強い観念を持っている方だと思います。
その柳田さんが絵本に対して感動とか安らぎとか、「涙」というカテゴリーの中でいくつかに区分けして、自分の絵本体験と自分の思いをつづられています。
掲載された絵本を読んでいると、柳田さんのとらえ方と自分の感想とを比較することができました。
感じ方に正解はないと思いますが、柳田さんの文章は自分の絵本探しに指針を作ってくれているようです。
後半の月々一定の金額を絵本のために投資することを自分に課するという発想も面白いかと思いました。(義務感につながると楽しさから離れてしまいますけどね)。
文章の中に顔を出す読み聞かせ会合のエピソードも親しみを感じました。
この本は初心者向けではないかもしれませんが、絵本好きの人には収穫のある解説書だと思います。
参考になりました。 2人

自信を持っておすすめしたい 大事にしたい日本の風景   投稿日:2011/09/01
新幹線のたび 〜はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断〜
新幹線のたび 〜はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断〜 作・絵: コマヤスカン
出版社: 講談社
あの大災害直後に出された絵本として特筆すべき絵本です。
なにしろ、絵本は出版されたけれど、はるかちゃんの乗ろうと思った新幹線は動いていなかったのですから。
あの大災害で失われた自然があります。
絵本の中の日本は鳥瞰された地形で描かれていますが、あの大津波を引き起こした地形を際立たせることになってしまいました。
そんなことで、妙に内容とは別のところで象徴的になってしまった絵本ですが(そうでなければ手に取らなかったかも)、とても素晴らしい構成です。

単なる乗り物絵本ではなく、青森から鹿児島までのはるかちゃんの新幹線旅行を車内と上空からとらえているところが特徴。
角度を変えると日本はこんな風に見えるのだと、地図帳だけの日本イメージから国土そのものに視点を与えています。
多少デフォルメされた感じと、名所を選ぶ作者の嗜好にかたよりはあるものの、代表的な観光地のあり場所と、いかに日本が変化に富んだ国土なのかを知ることができます。
見方を変えてみるという素朴な行為でこれほど日本が立体的に意識できるのかと、感心しました。

車内風景も見事です。
新幹線はいろいろな人を乗せて走ります。
そこに多少の人間関係が生まれることもあるでしょう。
長旅ならば、乗る人降りる人で雰囲気も変わります。
考えれば、乗っている本人も服を脱いだり来たり、寝たり起きたり、食べたり遊んだり…。
新幹線の長旅は同じ空間がずっと続くこと。

コマヤスカンさんの視点の素晴らしさは、大人としても楽しめました。
参考になりました。 4人

自信を持っておすすめしたい 絵が語っています   投稿日:2011/09/01
きもち
きもち 作: 谷川 俊太郎
絵: 長 新太

出版社: 福音館書店
谷川俊太郎文とあるので、何かなと思ったらこの本は谷川さんが投げかけたテーマに長新太さんが絵で展開した絵本だとか。
公園で友だちからおもちゃの車をとっちゃった男の子の気持ちがテーマです。
きかんぼうのようですが、ごく普通の男の子。
動物を愛するキモチ、注射が嫌だとおもうキモチ、病院で出会った女の子に対するキモチ…。
男の子のキモチは親を思うキモチ、罪悪に対するキモチと展開していきます。
最後におもちゃの車を返すことができてキモチはホッとしました。
とても感性豊かに絵で気持ちが表現されていて感慨ある絵本です。
最後の方に登場する谷川さんの解説の文章。
これ、いらなかったかもしれませんよ。
参考になりました。 1人

なかなかよいと思う 立松和平の遺作   投稿日:2011/09/01
新・今昔物語絵本 鬼のかいぎ
新・今昔物語絵本 鬼のかいぎ 作: 立松 和平
絵: よしなが こうたく

出版社: 好学社
小説家の枠を超えて活動を続けていて急死した立松和平の遺作が絵本というのも不思議な気がしますが、この絵本には立松さんの追求した仏教哲学、環境問題への思いが集大成として取り込まれているように思います。
琵琶湖の近くにある想像もつかない大木は、人々の自慢でありながら大樹の陰となる村では稲作を邪魔する厄介者。
村人は大木を切ることを願い出て、帝はそれを受け入れたのでした。
木のなくなったことに怒った百匹の鬼たちが話し合い、人間たちへの戒めを始めます。
過激な鬼もいる中で、穏健派の鬼もいる。
穏健な鬼たちの活動は人間の前では歯が立たず、次々と倒される大木を守りたいという環境保全の思想も伝わりません。
再び結集した百鬼たちの出した結論は、何百年、何千年かかろうとも環境保全の思想を人間にわからせようというものでした。
鬼たちは物の怪として様々な自然現象を起こします。
やっとそれに気づいた人々は反省し祈祷したのです。

けれども、開発は止まらなかった。
話は現代に移り自然破壊は続けられます。
最後は立松さん本人の願いとして、自然破壊の収束を訴えて終わります。

立松さんは、処女作『遠雷』から一貫して自然との共存を願い続け、環境破壊への問題提起を続けてきた作家です。
時に小説の中では破滅的な描写を続けながらも、当人は決して強行的な主張をする人ではありませんでした。
立松さんが生きていたら、あの大災害をどのように記述するのだろうか。

絵本を読み終えて思いました。
『飼育係長』、『あいさつ団長』のよしながこうたくさんの絵ですが、この本は子供向けではなさそうです。
今昔物語に題材を得た立松さんの願いをしっかり受け止めました。
合掌。
参考になりました。 2人

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