黒猫のルッキオと、ブチ猫のフリフリ。二匹の夢は、「おおきな おやしきに 『しゅうしょく』して、だんろのまえに ベッドをもらい、ぎんのおさらで まっかなマグロのおさしみを いただくこと」。
ところが、2匹の生活は、そんな夢とは程遠いものでした。綿のはみ出た汚いソファーで、食うや食わずの日々。
そんなある日、フリフリは、庭の陰になっていた、大きなスイカを見つけます。
「こりゃすげえ」 「これ、はまでうったら、マグロかえるかもな。」
スイカをかかえたルッキオとフリフリとの表情ときたら!もう2匹の頭の中は、真っ赤なマグロの赤身のことでいっぱいです。
さっそく浜辺へ出て、海水浴客相手にスイカを売ろうとするのですが・・・?
2匹とスイカの行く末やいかに。予想外の展開と、のんきな結末を、のんびりと楽しんでくださいね。
海にスイカ、長い1日。夏らしいモチーフいっぱいのユーモラスなストーリーに、スパイスを効かせているのが、作者、庄野ナホコさんの画風。庄野さんの描く、真夏の白昼夢のような独特の風景と、猫たちの媚びない表情にぐっとひきこまれます。
読み終わると、ルッキオとフリフリ、この妙に口の悪い愛嬌たっぷりの2匹の次のお話が、早くも楽しみになってしまっているはず。猫が好きな大人の方へのプレゼントにも喜ばれそうな一冊です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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