鉄火巻って、みなさんも食べたことありますよね?
なんと、本書はその鉄火巻の……「てっかくん」が主人公。
お母さんは「ねぎとろママ」。
お父さんは「ふとまきパパ」。
やんちゃな息子に頭を抱えるママと、どこか能天気な感じのパパ、のり巻一家のおはなしです。
さて、いったいどんなおはなしかというと……?
てっかくんはソファでボールを蹴ります。
散らかしながらのんびり食べるし、なかなか出かける支度をしないし、部屋の中で走ってコップをもったパパにぶつかるし……。
そんなわけで、ママは言ってしまうのです。
「はやくたべなさい!」「はやくかたづけなさい!」
「さわいじゃだめ!」「はしりまわっちゃだめ!」
「どうしてわすれるの?」「どうしてすぐけんかするの?」
(あれれ、誰かさんが、毎日のように言われているのとそっくりじゃありませんか。)
ママが朝から晩までおなじことをいうので、とうとうわさび味の辛い言葉がてっかくんに巻きついてしまいます。
ぐるぐる巻きついたせいで、かたい殻にとじこめられた、てっかくん。
さあ、どうなる!?
お行儀がよくて騒がなくて、手がかからないいい子もいいけれど……そんな子はやっぱり何だかさみしいですよね。
ねぎとろママの、子育て中ならではの揺れる心が、(まさに寿司酢のように!?)あまずっぱく描かれます。
子どもはてっかくん、親御さんはねぎとろママの気持ちになって楽しめそう。
家族で読んで、笑ってくださいね。
実は、作者のさとうめぐみさんは、『ケーキちゃん』『フルーツタルトさん』『ミルフィーユちゃん』『あんみつひめさま』『パンのようちえん えんそくにいく』など、おいしそうなスイーツ類が主人公の作品を、たくさん描いています。
本書とあわせて読んでみるのもおすすめです!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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