家臣はあわて、殿さまがいかる、城もおおゆれの緊急事態! なんと他国の殿さま「ずるすぎ うそのすけ」に、大事な姫をさらわれた!?
「ひげにんじゃよ!
すぐさま うそのすけの しろに むかい、
ひめを たすけだすのじゃ!」
殿の命によりはせさんじたのは……他ならぬ、殿ご自身のおヒゲ?
「ひげにんじゃの なにかけて
かならずや ひめを すくいだして みせまする!」
殿さまのヒゲが音もなく抜けたと思ったら、読者の頭から飛び出した「!?」のマークも消えないうちに、汗をかきかき闇夜をかけ出す、ひげにんじゃ。いったいこのお話は読者をどこに連れて行ってくれるのか、スタートから期待に胸が高まります……!
「それっ、にんぽう……」のかけ声で、次々とびだす毛忍法。
闇から闇に、ヒゲからヒゲに。隠れて渡る『わたりひげのじゅつ』!
高いところもなんのその。ヒョロリと毛がのび縦横無尽、『ひげなわのじゅつ』!
これは、かわいいのか……? キモいのか……? ただひとつたしかなことは、とっびきりヘンテコで、一生懸命だってこと!
数々の術を駆使し、ようやく姫を見つけ出したひげにんじゃ。しかし、外には「ずるすぎ うそのすけ」の家来たちがぞろぞろいます。いったいどうすれば……と、そのとき。
「ひげにんじゃ またせたな!
ひめも ごぶじでなにより!」
ひげにんじゃのピンチにかけつけた、意外すぎる忍者仲間たちの正体は? そして、忍者たちが協力してくりだす、必殺毛忍法『へんげのじゅつ』!
果たして、これを読んで笑わずにいられる子がいるのでしょうか……? 子どもたちがどんなふうに笑ってくれるのか想像してしまって、むしろ読み聞かせる側がワクワクしてしまうような一冊です。
任務を終えた忍者たちといっしょに、殿さまの元にご報告! そうして読者を待ち受ける、まさかまさかの、二段オチ……。
(堀井拓馬 小説家)
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