
足をけがして、楽しみだった遠足に行けなくなってしまった、きつねのコンタ。 「いまごろ、みんな楽しくやっているんだろうなあ。ぼくのことなんか、すっかり忘れてしまっているんだろうなあ……」 コンタは1日中、ふとんをかぶって泣いていました。 すると、仲よしのうさぎのぴょんこちゃんが、とっても素敵なおみやげを持ってきてくれて……。かわいらしい友情をほほえましく描きます。
<ここがポイント> ・えんそくの楽しさ ・あたたかな友情 ・家族のすばらしさ
<おうちのかたへ> 悲しい気持ちにも 楽しい気持ちにも 寄り添えるのが友だち 教育評論家・尾木直樹
明日は、待ちに待った遠足。ネコのミュー先生の呼びかけに、みんなは元気いっぱい、お返事をします。 でも、うさぎのぴょんこだけは、ちょっと元気がありません。だれよりも遠足を楽しみにしていた、仲良しのきつねのコンタが、足にけがをして、遠足に行けないからです。自分は遠足に行けるのに、行けないお友だちのことを心に浮かべるなんて、なんとすてきでしょう。 ところで、実際にぴょんこは遠足を楽しめなかったのでしょうか? ――いいえ、とんでもない。土まみれでお芋ほりを楽しみましたよ。お友だちとのおしゃべりも、お弁当タイムも、ちゃんと満喫しました。 じゃあ、ぴょんこは、コンタのことを忘れてしまったのかな? ――いいえ、決して忘れてなんかいませんよ。ぴょんこは、コンタの分まで、お芋ほりを楽しんできたのです。そして、悲しくていじけて布団にもぐってしまっているコンタに、楽しかった様子をいっぱいいっぱい、お話してあげるのです。 そして、ぴょんこがおみやげに持ってきてくれた、自分たちにそっくりのお芋を見て一転、大喜びのコンタ。よっぽどおみやげがうれしかったのでしょうか? ――いえいえ、おみやげよりも、もっともっとうれしかったのは、ぴょんこが自分のことを大事にし、覚えていてくれたことです。 友だちって、いいね。悲しい気持ちも、楽しい気持ちも、自然に、一緒に寄り添って感じることができる。一緒の気持ちになれたとき、つながれたという実感が二人の間に生まれるのです。そしてそれは、行動する力や生きる力、幸せだなぁという感情に変わります。 「友だち」の持つパワー。何物にも代えられない、素晴らしい宝物ですね。
<編集者から> 「いやだ! いやだ! ぼくは ずうーっと おきないことに きめたんだ!」 コンタくんのこのセリフ、なんとも可愛らしいと思いませんか? とっても楽しみにしていた遠足に行けない悔しさがよく表れていますよね。 そんなコンタくんには、うさぎのぴょんこちゃんという素敵な友だちがいます。 ぴょんこちゃんが持ってきたお土産を見たとき、私もおもわず「わあ!」と驚き、うれしくなってしまいました。 ぴょんこちゃんは何を持ってきてくれたのかな? ぜひ、読んでみてくださいね。


いもとさんの作品だったのでこの絵本を選びました。今の季節にぴったりの内容に嬉しくなりました。主人公の心の移り変わりをとても上手に描いているのが素晴らしいと思いました。素敵な友達を持った主人公は幸せ者だと思いました。 (なびころさん 30代・ママ 女の子4歳)
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