美味しそうなにんじん。
オレンジの鮮やかな発色と表面の小さな白い筋が食欲をそそります。
ページをめくると…
「スープになりました。」
一瞬でみんなが大好きなスープに大変身です。
白いカップにとろーりにんじん色のスープがよく映えています。
ごくっ。
じゃがいもは、とろんとろんのスープに。ごくごく。
真っ赤なトマトは、さらさらスープに。さらさら。
ひんやりスープもふわふわスープもありますよ。
でもやっぱり大本命はとうもろこし!
とろっとろのスープに変身、そこに…ちゃぽん。
スープにつけて食べたいものといったら、やっぱり「あれ」ですよね。
次から次へと美味しそうな野菜とスープが登場するこの絵本を作っているのは、彦坂有紀さん、もりといずみさんによるユニット「彦坂木版工房」。そう、リアルすぎてお腹が空く!と話題になった『パン どうぞ』の作者です。パン、ケーキ、コロッケと続いて、最新作はスープ。もちろん全て木版画です。
一見するとわからないのですが、真っ赤に熟れたトマトも、深みのある緑が味わい深いほうれんそうも、つぶつぶとうもろこしも、よーく見ると木肌の模様がうっすらと見えてきて、確かに木版画だとわかるのです。特に圧巻なのは、スープにフランスパンが浸かっている場面。なんでも、スープの箇所は版木をしっとりとさせ、パンの箇所はカラッとさせて刷っているのだとか! 質感の違いもみどころのひとつです。
とはいえ、子どもたちには細かい説明は必要ありませんよね。
美しく変身した絵本のスープを一緒にごっくん。
実際に食卓でもごっくん。
親子で心からあたたまってくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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