“ねーずみ ねーずみ どーこ いきゃ?”
ねずみさん、どこへ行くのかな?
“ちゅっ ちゅく ちゅ”
と飛びこんでいったのは、素敵なところ!
では、うさぎさんは? こぐまさんは?
みんな、みんな、やっぱりね。だから、はなちゃんだって…
あかちゃんと一緒に読んでいるだけで、リズムが生まれる嬉しい絵本「わらべうたでひろがるあかちゃん絵本」シリーズ。「わらべうた」と言っても、かまえることは何もありません。ページに登場する言葉を、あかちゃんに話しかけるように声に出して読んでみると、ほら、自然とリズムが生まれ、絵が生き生きと動きだすみたい。
本作のもとになった「わらべうた」も、初めて聞いた時からなんだか馴染みやすくて。その上、こんなにシンプルな言葉だけなのに、物語が浮かび上がってくるのです。
作者は作家としてだけでなく、子どもにお話を届ける活動に長く携わってこられたこがようこさん。わらべうたを通したお母さんとあかちゃんの「いい関係」を沢山ご覧になられてきたからこその、この作品。あかちゃんをトントンとあやす時の心地よいリズムと同じだと聞けば、なるほど納得。すぐに挑戦してみたくなりますよね。
さらに絵を描かれているのは降矢ななさんです。どこか懐かしいような、シンプルながらも愛らしく、ユーモラスに動きまわる登場キャラクター達。描文字やあたたたかい色合い、絵本の世界へ誘ってくれる見返しなど、細部にいたるまで魅力がたっぷり!「長く愛され続ける絵本を」という作り手の思いが伝わってくるようです。
最後に飛びこんできたはなちゃんをぎゅっとするのは、もちろん…?
読んでいるみんなが幸せな気持ちになれる一冊ですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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