おや、深い深い海の底、
ぼんやりと見える明るい光に誘われていってみると・・・・。
大きな巻貝の中にお店をかまえた「ちょうちんあんこう」の「ぴかこ」さんがいました。
ぴかこさんのお店では、深海では見たことのない花のぼうしや
葉っぱのかばん、なんともめずらしいものがたくさん並んでいます。
素敵な品揃えにお客さんも大満足。
でも、謎は深まるばかりです。
だって、ぴかこさんの売ってるものは、
海の中では手に入らないものばかりなんですもの。
一体、ぴかこさんはどうやって手に入れてるのかしら。
ぴかこさんはお店を閉めるといくところがあるみたい。
それも決まって月のでない夜。
海面にむかって上へ上へ、泳いでいきます。
どうやら海の外でなにか秘密のお仕事をしているようなのです。
なんとも変わった、なんとも不思議でやさしいお話です。
ぴかこさんが照らす光の先にあるやわらかな笑顔と時間。
ヒトデ柄のエプロンを身に着けたぴかこさんが愛くるしく、
その光に照らされた登場人物もみなとてもいい表情をしているのです。
なによりも、作者の松山円香さんが表現する繊細な美しい暗闇と光の世界に酔いしれます。
静かな夜に届くぴかこさんが放つあたたかい光。
おやすみ前に読む素敵な一冊がまた増えました。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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