ある日、はんなちゃんが目を覚まして起き上がってみたら…
まだ夜だったんですって。
隣のベッドのおねえさんも、おかあさんもおとうさんも
みんな眠っているから、はんなちゃんは…
何をしたのかな?
小さなはんなちゃんが初めて体験するひとりきりの夜の時間。
静かに密やかに、でも好奇心たっぷりに行動するはんなちゃん。
猫のチロも一緒です。
1人で階段を降りたり、部屋をのぞいてみたり、
チロと秘密のおやつを楽しんだり。
立っている姿、座っている姿、ぼーっと満月を眺めている姿。
どのページ、どの場面一つとっても
本当に子どもらしい可愛さにあふれています。
特に一番の楽しみを発見した時のとろけるような表情といったら。
たしかにはんなちゃんにとっては、思いもかけず手に入れた
特別な魔法の時間だったに違いありません。
そして、読者は最後に魔法がとけていく瞬間のはんなちゃんの
飛びっきりの寝顔を眺めるという…幸せな時間を味わうことができるのです。
小さなはんなちゃんの、ほんの一瞬、幻のようなキラキラした時間。
酒井駒子さんの描き出す世界を思いっきり堪能してください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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