森の中で、一番見晴らしのいい杉の木に住まいを構えているモモンガさん。
彼のお仕事は、青い制帽がトレードマークの、小さな森の配達屋さん。
モモンガさんの一日は、毎朝、森を見渡して、緑の中にはためく青い旗を見つけることから始まります。
青い旗は、森のみんながモモンガさんへ送る「配達お願いします!」の合図なんです。
送り主から荷物を受け取ると、モモンガさんは、毎回「まごころこめて とどけるぞ」と言いながら、
配達先へ急ぎます。高い木を、するするといとも簡単に駆け上がったり、
モモンガ自慢の飛膜を軽やかに広げて、高い木の上から、空へフワリと風にのってひとっ飛び。
身軽なモモンガさんだからこそ、川の中州にあるクマさんのお家だってあっという間に到着です。
働き者のモモンガさんの1日と素敵な森の仲間達の交流を丁寧に描いたふくざわゆみこさんの絵本。
モモンガさんが走り出すたびに、森の透き通った風が目の前を通り抜けます。
杉、クヌギ、柳、楠木、紅葉、樫と、物語に登場する木々は、葉や幹の太さまで本当に本物そっくり。
見開きいっぱいに力強く伸びる木々の先端まで、瑞々しく愛情たっぷりに描かれているのがわかります。
そんな大らかな森の中で、生き生きと仲良く暮らしている動物達をそっと見守るふくざわさんの目線は、
どこまでも優しく、読者の心を和ませてくれます。
絵本を読み終わった後、家の外に青いハンカチを結んでおいたら・・・。
もしかしたら、こんなかわいい配達屋さんがひょっこり現れてくれるかもしれませんね。
(絵本ナビ編集部)
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