森の中にいる小さなおばけちゃん。
「あーん あーん、ママが いないよー。
あーん あーん……」
あれあれ、だれかの泣き声が聞こえてきましたよ。
うさぎちゃんが、ママとはぐれてしまったようです。
おばけちゃんは、なぐさめてあげようと、きれいなお月さまを見せてあげながら、おさんぼうやすすきを飾って、お月見のしたくをします。
「あーん、おだんごがなくちゃ いやだ!あーん……」
親切なおばけちゃんは、おだんごに化けてあげます。
ところが、うさぎちゃんが喜んでかじったから大変!!
「きゃあ!いたいよー。あーん あーん あーん……」
あらあら、今度はおばけちゃんが泣いてしまいましたよ。
そこへ、うさぎちゃんのママが帰ってきて……。
小さな小さなうさぎちゃんの面倒を見てあげようと、小さなおばけちゃんが奮闘している姿は本当に可愛らしいですね。お兄さんになったような気持ちだったのかもしれません。
だけど本当に嬉しかったのは、きっとうさぎちゃんのママでしょうね。うさぎちゃんには、おばけちゃんがおだんごに化けたことがわからなかったのですが、きっとその優しい心はうさぎちゃん親子に伝わったはずです。
せなけいこさんの最新作は、夜空にぽっかり浮かんだお月さまみたいに、まあるくて優しいお話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む