バイオリニストの奏でる曲にのって描かれたイメージ??空の虹や地中のしずくから、色がはじけ飛びます。魅力あふれる異色絵本。
バイオリン奏者の最初のセリフ以外は、全く文字がない、イラストのみの絵本です。まさにエリック・カールのコラージュの傑作と言えるでしょう。そのコラージュの色使いと言ったら、エリック・カール氏のいくつもの絵本の中で、一番なのではないかと私は思います。
でも彼の絵本の中で、一番難解な絵本なのではないでしょうか。それは文字がないから。自由に想像してよいということは、人それぞれに違った視点で、読んで感じて読んでほしいと言うことです。案外、想像力をフル回転しないと、難しいことですよね。作者からのメッセージを読んでみると、ある人はこの絵本宇宙の創造だといい、ある人は、悲しい物語だと言ったそうです。
私はこう感じました。バイオリン奏者の奏でた音は、やがて色となりはじけて、月と太陽が生まれました。月と太陽は海に溶けあって、様々な生物が生まれました。このあたりは、天地創造のようですね。深い海はやがて少女ととなり、少女の涙は、土に命の恵みを与え、そこから根が張り、芽が息吹きます。このあたりは、大地にいっぱいに根を張っている様などは、まるで人間のように描かれています。やがて芽は成長し、大きな花をつけて花から飛び散った花びらは、また色となり、バイオリン奏者の奏でる音となり、バイオリンに吸い込まれていくのでした。
モノクロで描かれたバイオリン奏者は、最後のページで様々な色を身にまとって一礼して退場します。バイオリン奏者が、演奏をしながら想像を広げ、空想の旅の中で、人生のすべてを経験します。読み手の私たちも同じ経験をすることが出来るのです。
さて、私はこのように感じたが、娘にはどうやって読み聞かせをしよう。
でも心配ありません。娘は娘なりに、想像力を発揮して、「いろとうたの旅」に出るのですから。
ただ、この絵本を読み聞かせをする時は必ず、私が知っているクラッシックのメロディーを口ずさんでいました。娘がすんなり旅に出れるように・・・ (はんぶん×ずっこさん -・絵本紹介サイト )
|