草むらの中の小さな小さな家に住んでいるのは、「かたつむり」のぼうやと「かめ」のばあちゃん。
朝が来て、先に起きたかたつむりぼうやが、かめばあちゃんを起こします。
「ばあちゃん おきてよ もう あさだよー」「むにゃむにゃ ねむくて まーだだよ」
「おなか すいたよ もういいかーい?」「はいはい それじゃあ おきましょね」
朝ごはんはタンポポサラダ。ぼうやのサラダにマヨネーズをかけてあげるばあちゃん。
「これぐらいかい?もう いいかい?」「まーだだよ。もっと もっと たっぷりかけて」
それからふたりは公園へ出かけます。
殻を背負ったぼうやと、こうらを背負ったばあちゃん。スローペースなふたりが、朝起きて、ごはんを食べて、公園へ遊びに行って、おうちに帰る。話はそれだけ。でも・・・!
「もういいかい?」「まーだだよ」「もういいかい?」「もういいよ」
のんびりしたふたりのやりとり、のーんびりしたふたりの一日が、たまらなく愛おしくなってくるんです。
のごのご のごのご 歩く、かめばあちゃんとかたつむりぼうや。公園までの道すがら、ぼうやがみずたまりに石ころを投げるのに夢中になれば、にこにこと眺めて待っているばあちゃん。公園でかくれんぼしている時も、ぼうやに「まだ みつけちゃ だめ!」とぼうやに怒られれば「こりゃ しっぱい ぼうやは どこかな〜」と探し直しをするばあちゃん。そこに見えてくるのは、まさにおばあちゃんと孫の光景。優しい優しい時間が流れています。
どこか懐かしいおばあちゃんのたたずまいや家の雰囲気、そして何といっても、ぼうやとばあちゃんが並んでいる姿の可愛らしさ!読んでいるうちに大人もなぜか胸がいっぱいになってきてしまいます。
ぼうやとばあちゃんの小さな世界にふれる幸せ。子どもたちには何回でも味わってもらいたい絵本です。
(絵本ナビ編集部)
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