クリスマス・イブの日のお話です。
この日の朝、一年ぶりに目を覚ましたのはサンタさんとトナカイ。
「たっくんの うちから えりちゃんの うちへいって、それから ちあきちゃんの うちへ いくと、ちかみちですよ」
ふたりは朝ごはんを食べながら、プレゼントを届ける子どもたちのうちを調べたり、子どもたちから送られた手紙を読んだり。さらに、サンタさんはプレゼントをつつみます。
「なかみを まちがえないでくださいね」
トナカイは物知りな上にしっかり者です。
プレゼントをぎっしりそりに積んで、さあ出発です! みんなの家をまわって、えんとつから家の中に入り、眠っている子どもにプレゼントを配っていきます。まだ起きている子は後回しです。あと少し、がんばってサンタさん。一番最後に残ったのは、あっちゃんへのプレゼントのくま。最後はふたりでお部屋まで届けに行くと、そこには…?
たくさん働いた後、とっても素敵なクリスマスの夜を迎えたサンタさんとトナカイ。あっちゃん、プレゼントをありがとう!
サンタさんと女の子、そしてケーキ屋さん。クリスマス・イブにそれぞれの心がどこかで少しずつ触れ合うことで生まれる物語を、刺繍という表現で素朴に、そして愛らしく描いた小さなクリスマス絵本です。(サンタさんとトナカイが夜の空へ出発するシーンはとても美しい!)特筆すべきは、この絵本が実は3冊で一つの物語が出来上がっているということ。それぞれの視点から味わえる3冊、『あっちゃんとゆびにんぎょう』『100こめのクリスマスケーキ』と合わせて読んでみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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