大切に育てれば願いがかなうという「ゆめたまご」。
なんて魅惑的な名前、中には何が詰まっているのでしょう。
このみが「ゆめたまご」を手にしたのは、ある真夜中。
こわい夢を見て目が覚め、なかなか寝れずにいると、
「トン トン トン」
誰かが窓をたたきます。
そこにいたのは、バクに乗った不思議なおじさん。
おじさんは夢喰いバクのために君のこわい夢を食べさせてやってくれないか、
代わりに願いごとをかなえる「ゆめたまご」をくれると言うのです。
喜んで交換したこのみ。
どんな願いごとをしようかな、色々な想像を楽しみながら大事に卵をあたためるのですが、
まったく卵はかえりません。そこでこのみは…?
これは夢なのか、現実なのか。
少女のいる幻想的な世界はとにかく美しく、そしてちょっぴりこわい。
でも、その中で空想を繰り広げる彼女の願いごとの可愛らしいことといったら。
作者のたかのももさんは、ボローニャ国際絵本原画展で四度の入選を果たしている注目の作家さんです。
独、仏で先に刊行されていた絵本が、ついに日本でもデビューです。
どこまでも繊細で深く、そして愛らしい絵と物語。
年齢に関係なく、読んでいる者全てを彼女の世界へと誘導してくれます。
さてこの物語。空想はやがて現実となっていくのか、やっぱり空想のままなのか。
読み終わってからも気になって仕方のない私は、すでに彼女のファン!?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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