春風をむねいっぱいにすいながら、菜の花みちをいきおいよくまがったねずみくん。どーん!とぶつかったのは、くまくんの背中でした。菜の花が大好きなくまくん。その日から、ねずみくんとくまくんはともだちになりました。
ねずみくんは毎日くまくんの家にいき、天気のいい日はいっしょに出かけるようになりました。魚をとるのがとくいなくまくん。野菜を育てるのがじょうずなねずみくん。でもふたりの楽しい日々は、冬がきて、とつぜんに終わってしまいました。なぜなら、くまくんがねむってしまったから。落ち込んでいたねずみくんですが、いいことを思いつきました。それは、くまくんのためにたねをまくことでした。
「くまくん、いっぱいねむっていいよ。ぼく、まってるから。」
「ゆきがとけたら、またあえる。はるがきたら、またあえる。」
くりかえし出てくるこの言葉を、くりかえし読むうちに、じわーっとあたたかいものが胸に広がります。「まってる」って、なんてやさしい言葉でしょう。ねずみくんの表情が豊かです。
そして、菜の花の海のなか、ふたりがふたたび笑顔になる春・・・。ともだちって、春って、いいですね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む