1973年発売以来読みつがれている、かこさとしさんのお話絵本。
赤ありのきょうだい、ぺっちゃんとなっちゃんのお話です。
ある日、お兄ちゃんのぺっちゃんは、赤あり小学校から、1年生の妹のなっちゃんと一緒に帰るのがいやで、さっさと一人で帰ってしまいます。
帰り道の途中で大きなキャラメルを見つけたぺっちゃんは大喜び。
なっちゃんがこないうちにと夢中でなめていると、3びきの大きな黒ありに取り囲まれて……つかまってしまいました!
一方、まっすぐ家へ帰ったなっちゃんは、お兄ちゃんが帰ってこないことを知ります。
近所のおじいさんおばあさんをはじめ、赤ありのみんなで手分けをして、ぺっちゃんを探してくれることになりました。
途中、大きなビスケットを見つけたみんなが持って帰ろうとすると、またもや黒ありギャングに横どりされ……
さあ、どうなる!?
“子どもたちがくぎづけになることまちがいなし!”と太鼓判をおしたくなるのは、巨大なキャラメルとビスケットの場面です。
ありの目から見た大きさがリアルで、おいしそう!
ちっちゃな赤ありが大勢で「わっしょい わっしょい」とビスケットを運ぶ一体感は、黒ありをこらしめる爽快な場面とともに、お話を気持ちよく盛り上げてくれます。
かつて子ども会の活動で、目の前の子どもたちのために紙芝居をつくっては披露していた、かこさとしさん。
代表作のひとつ『どろうぼうがっこう』と同じように、この赤ありのきょうだいのお話も、子ども会の活動のなかで生まれたそうです。
当時、黒ありギャングがお酒を飲んで酔っぱらって歌う場面が大人気だったとか。
♪すちゃらか ちゃん ちゃん すちゃらか ちゃん♪
パパが調子良く読み聞かせしたら、子どもたちが大喜びしてくれるかもしれませんよ。
さて、待望の続編『あかいありのぼうけんえんそく』が2014年に出版されました。
『あかいありとくろいあり』がスミレやツクシの生えた野の道を歩く春の本であるのに対して、続編は秋の遠足が舞台です。ぜひ2冊一緒にお楽しみくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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