がたぴしくんは、町で一番古いバスです。
がたぴし ぶるる ぶんたた ぶるる
がたぴし ぶるる ぶんたた ぶるる
走るとエンジンの音が「がたぴし」というので町の人にそう呼ばれています。
年をとって古くなっても、毎日一生懸命働きます。お客さんの喜ぶ顔を見るのが嬉しいからです。ある時、そんな働き者のがたぴしくんのエンジンはとうとう動かなくなりました。町の人気者は、みんなから「おつかれさま」と感謝されて子どもたちが遊ぶ中央広場に置かれることになりました。もう、走ることは引退しているがたぴしくん。でも、やっぱりまた走りたいといつも思っていました。
そんな夜、遠足にきていたみんなとはぐれて途方にくれている小さなこぎつねに出会います。
助けてあげたいのに助けられないがたぴしくんが、とても悲しい気持ちになったその時です!お月さまの輝く光が、なんとがたぴしくんのエンジンをかけてくれたのです。ベテランのがたぴしくんが知らない道などありません。がたぴしくんは、こぎつねを乗せてみんなを探しに出かけるのですが・・・。
満月の夜にだけ月の力をかりて走ることが許されたがたぴしくんの、ひたむきに走る姿。
星空の下、町の明かりも消えてしんと静まる真夜中に、勇敢にもこぎつねのために走るがたぴしくんは、現役時代よりも輝いています。
たしろちさとさんの描く魅力的な町の人々や愛らしいこぎつねたち、そしてなによりも古い素敵な赤いバス「がたぴしくん」の人を思う気持ち。生き生きとした登場人物が魅せる、満月に起きる不思議な世界にすっかりと引き込まれてしまいます。絵本の最後に、がたぴしくんがこぎつねたちとした約束、ちゃんと守られているみたいですよ。
何を約束したかは、絵本を読んでのお楽しみです。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
続きを読む
がたぴしくんは、町で一番古いバスです。長い間、一生懸命走り続けていたがたぴしくんでしたが、とうとう動けなくなってしまいました。
町で一番古いバスのがたぴしくんは、町のみんなをのせて走ることが大好きです。
ところがある日、がたぴしくんは道の途中で止まってしまいました。
修理工場に運ばれたがたぴしくんでしたが、エンジンはとうとうなおりませんでした。
二度と走れなくなってしまったがたぴしくん。
町が見渡せるすてきな広場に置かれ、子どもたちの遊び場となりました。
それでも、がたぴしくんは走っている車たちを見るたびに、もう一度走りたいと思うのでした。
そんなある満月の夜、がたぴしくんは泣いている迷子のきつねを見つけました。
みんなを探してあげたいけれど、走れないがたぴしくんにはどうすることもできません。
そのとき、月の光ががたぴしくんに降りそそぎました。
そしてがたぴしくんのエンジンが動き出し、ついに走りだすことができたのです。
年をとって走れなくなったバスが、ふしぎな満月の力によって再び走る姿を描いた、心温まるお話です。
続きを読む