アイルランド生まれで世界を旅する作家、素敵な絵を描くクリス・ホートンの絵本です。
おひさまが西の空にしずみ、あたりはすっかり夕闇に近い茜色。
森に住む動物たちの目がとろーん。
小さなねずみは小さなあくび。
中くらいのうさぎは中くらいのあくび。
大きなくまのおかあさんは、大きなあくび!……だけどくまの子は
「ぼくはちっともねむくない」
と出かけていきます。
けれども、遊び相手がいなくて……?
思わぬところにしかけページがあり、空はあざやかな赤むらさき色で、濃紺の見返しには星座図と太陽系の惑星が描かれています。
南半球、北半球の星空がそれぞれ描かれ、こぐま座とおおぐま座も描かれます。
前見返しと後ろ見返しをみくらべると、太陽の光があたっていた半球が回転して、月に面して夜になるのがわかります。
宇宙を感じさせてくれるデザイン、グラフィックがうつくしい絵本です。
いちばんの見どころは色づかい。ぱっと目を惹くような華やかさと、同時にしっとりした落ち着きがあります。
だんだんねむりについていく内容は、ベッドで読むのにぴったり。
エキゾチックな色の雰囲気は、ねむっている間に素敵な夢の国に連れて行ってくれそうです。
子どもだけでなく大人にもおすすめしたくなる絵本。
まんまる目玉のねむくないくまの子が、ねむくなって、ねむるまで。
天空の星は瞬き、動物たちも次々ねむりにつき、森にしーんと静寂がおとずれます。
一日の終わりに癒される絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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