サムは図書館に住むねずみです。調べ物コーナーのうしろの小さな穴の中で暮らしています。
昼間はたくさんの人が行き来するにぎやかな図書館の隅で丸くなって眠り、夜になると静かな図書館にサムひとりになるのです。
毎晩、サムは思う存分本を読みます。絵本も物語も、スポーツだって料理だって、それからミステリーも!サムの頭の中は知らない国の風景や空想の世界でいっぱいになっているのです。
・・・ここまで読んで、思わずつぶやいてしまった人もいるはず。
「なんて素敵な暮らし!」
ところがサムがすごいのは、ここからなんです。
自分でも本を書いてみることにしたのです。最初は自分の暮らしのお話から。手ごたえを感じると今度は長いお話にも挑戦します。
昼間、図書館に来てサムの本を見つけた子どもたちは夢中になり、いつの間にかサムの本は大人気に!サムに会いたいと言い出します。
そんな人間たちに対して、サムは思うのです。
「どうしてみんなは、お話を考えたり、書いたりすることを難しいと思うのかな」
なにも躊躇することなくのびのびと空想や冒険に飛び出して行き、気負うことなく自分の好きな世界を創造していくサムの姿を見ていると、本を好きなだけ読める喜び、文章を書く喜びを思い出させてくれるのです。
そして、心の底から楽しんでいるサムの様子を見ながら、子どもたちはきっとうずうずしてくるでしょう。
どうか、一人でも多くの子どもたちが、この素晴らしい空想の世界を体験してくれますように!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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本を読むこと、書くことの楽しさを伝える絵本
図書館ネズミのサムは本を読むのが大好き。ある日、自分で本を書くことを思いつきました。一生懸命書き上げて、こっそり図書館の棚に並べたら、大人気に。でも、みんながサムに会いたいと言い出したから、さあ大変!
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としょかんねずみのサムが登場する絵本、「としょかんねずみ」シリーズを最初に読んだとき僕が思ったことは、「ああ、サムのように図書館に住みたい!」ということでした。そうすれば、本に埋もれて好きなだけ読書をして暮らせるからです。しかし、自分ひとりで本を読んで空想にひたっているだけでは、人生の本当の喜びは味わえません。そう考えていたら、サムだって、後でちゃんと、サラという素敵な友達と冒険に出るではありませんか!昔からネズミというのは、小さなくせに不思議と勇気のある生き物なのです。
みなさんも、ぜひサムのように読書をしたり、物語を書いて楽しんでみて下さい。図書館に定期的にいくことも、本好きになる秘訣です。そして、時にはちょっと勇気を出して、未知の世界を冒険してみてくださいね。世界は、驚きや冒険で満ちあふれています。その世界を体験することが、実は物語の泉であることもサムの絵本は教えてくれます。
訳者 渡辺鉄太(2013年9月19日)
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