「5分で済むから待ってて」
大人の5分って、めちゃくちゃ長い。
5分なんて待てなーい!
「あと5分で行くよ」
たった5分? そんなの短すぎるよ!
……あれ。同じ5分なのに、なんだか長さが違うみたい。
それって本当に同じ5分?
そういえば、歯医者の待合室での5分はすぐだけど、歯を削られている5分は全然すぐじゃない。トイレを待ってる5分は耐えられないけど、遊んでいる5分はあっという間。ほかにも、ほかにも……。
“5分”って不思議。どうして、こんなにも感じ方が違うんだろう。子どもたちが身の回りのエピソードを通しながら、時間の面白さに触れることができるこの絵本。沢山のエピソードが次々に飛び出すのだけれど、一つ共通しているのは、“5分”に振り回される主人公の男の子の表情が最高に可愛いってこと。まさに一喜一憂、5分の世界は深いのです。
「ねえ、それ本当に5分でしょうね?」
この絵本を読んだ子には、上手に言わないと疑われてしまうかもしれませんよ。例えばそれが10分だとしたらね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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