「木」をこんなにじっくり見た事はありますか?年齢を重ねた老木の太い木の幹、いくつもの風雪をくぐり抜けて来たごつい木の節々。そこから生える若い新しい芽。表情豊かな迫力ある「木」の姿の数々に圧倒されてしまいます。
この「木」のデッサンを描いた彫刻家佐藤忠良(絵本おおきなかぶを描いた人です!)は、日々の制作の合間の散歩の途中にこの「木」のデッサンを15年以上描きつづけているそう。そうして毎日木と向き合っているうちに木と対話をする様な感覚になっていったのです。この絵本はそうしたデッサンに新しく描いたものも加えられて、詩人の木島始さんがそこからイメージされた文章を添えられたものになっています。
一見、地味な印象のこの絵本。(何しろ出てくるのは鉛筆一色で描かれた木、のみ。)でも、めくればめくる程その魅力に惹きこまれてしまいます。それは「木」そのものの魅力に加え、画家の「木」に対する眼差しの奥深さや体温を感じるからなのでしょうか。更に木島さんの文章により物語が始まり、世界が広がっていきます。最後には大迫力大画面のページも折り込まれています。
うちでは父がこの絵本を大変気に入った様です。私は息子にはこの絵本の様にじっくり何かと対話する事から色々感じ取って欲しいな・・・と思ってます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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