朝です。窓をあけるのも、お花にお水をあげるのも、お当番さんの仕事。
でも、今日はお当番のやぎちゃんがお休みです。
ミュー先生は自ら窓をあけました。そして、お花にお水をあげるのはどうしようかと、みんなににっこりと笑いかけると……。
「はい! わたしがやります!」「ぼくも!」「わたしも!」
みんなでお花にお水をあげて、いい気持ち。
すると、ミュー先生がさけびました。「大切なことを忘れていたわ!」。
なんだろう、なんだろう? 忘れていることってなんだろう……?
ここがポイント
・みんなと助け合うことの大切さを伝えます
・自ら考えて行動することの素晴らしさを伝えます
・礼儀作法について考えさせてくれます
<おうちのかたへ>
「やさしさ」が生んだ子どもの「気づき」 教育評論家・尾木直樹
「お当番のやぎちゃんがお休みしているから、朝、窓が閉まっていた。だけど、だれも代わりに窓を開けなかったし、お花に水もあげなかった」。
こんなある日の朝のこと。教室に入ってきたネコのミュー先生は、やさしく、にっこりほほえんで、「そう、じゃあ わたしが まどを あけましょう」と自ら窓を開け、花に水をやります。こんな先生を見て、りすくんも、みんなも、「自分がやればよかった」と、胸をドキンとさせます。
“子どもたちは、一言かけてあげれば、きっと自分で気づき、理解してくれる。そして、行動に移してくれるはずだ”――そんなミュー先生のやさしさと子どもたちへの信頼が、子どもたちの心の中の「気づき」を温め、芽生えさせたに違いありません。
これが、「なぜ代わりにやらなかったの?!」などと子どもたちを責めていれば、心の中の「気づき」は芽を出すことなく、しぼんでしまっていたことでしょう。子どもたちは自分を責めてしまったかもしれませんし、うっかりすると、先生に反抗していたかもしれません。
子どもの「気づき」を信頼して、待つ姿勢でやさしく接したミュー先生。先生の一言と行動を見て、「自分が代わりにやればよかったんだ!」と気づき、素直に行動に移す子どもたち。なんとすてきな響き合う関係でしょうか。
こんな関係性があれば、学校は何倍も楽しくなり、生活も豊かになります。心遣いが大切だと気づけたとき、行動に移せたときのすがすがしさも倍増です。そして、みんなでステップアップできるのです。
最後に、朝のあいさつを忘れていたことにみんなで気づいたとき、「おはよう!」の花が次々と教室に咲きました。
<編集者から>
動物の子どもたちが、ミュー先生に「大切なことを忘れていたわ!」と言われて、みんなで「なんだろう、なんだろう……」と真剣に考える部分で、読者も一緒に考えさせられる展開になっています。
大切なことを思い出したときの、子どもたちの嬉しそうな笑顔に、おもわず微笑みかけてしまいますよ!
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