あなたの本棚には、どんな本が並んでますか。
昔話?伝記?怪談話?図鑑?それとも侍や忍者の物語?
いろんなジャンルの本がきっと仲良く本棚に収まっていることでしょう。
でも、みなさんはご存知でしたか。
実は、真夜中の本棚ではとんでもないことがおきているのです!
誰もが寝静まった暗闇の中、よく目をこらしてご覧ください。
本の中で身を潜めていた挿絵の動物たちやお伽話の主人公たち、忍者や龍やら福の神など、みんな自分の絵本から飛び出してきて、あっちゃこっちゃへ渡り歩いてそりゃもうてんやわんや。
たいへんー!!大丈夫なのかって?心配には及びません。それもそのはず本の見張り番、犬張子の「こたろう」がちゃんと見守っていますから。
ところが・・・これはいけない。なんとこたろうがうとうと居眠り。時間がとうにすぎてしまいました。目が覚めたこたろうは、あわててみんなを元の本に戻るよう指示をだしたのですが、あまりにも急いでいたので、何人かは間違った本に戻ってしまったみたいなのです?!
「こたろうさん、りすが かえらんのですわ」
「りくのいきもの」図鑑から、くまが心配そうにいうのです。これは一大事!こたろうの必死の捜索がはじまります。そして今度は桃太郎がいないという話まで。さあ、こたろうは朝がくるまでに本棚をいつもどおりに戻すことができるのでしょうか。
「それなら いい いえ ありますよ」で、第34回講談社絵本新人賞佳作受賞された澤野秋文さんの二作目の絵本です。1作目に引き続き、懐かしい和の趣を感じる作風にときめきます。
今回のみどころはなんといっても、それぞれ間違った図鑑や絵本に戻ってしまった動物や主人公たちを見つける探し絵のページ。緻密に描きこまれた絵本の中の本のページには、生き生きとした遊び心がこれでもかってほどギッシリ満載なのです。「りす」が紛れ込んでしまった「植物図鑑」をみてみると、植物の名称にまぎれて「まめしば」「まんぼう」「きぐるみ」「びっくり」など「りす」を探してしまうのも忘れてしまうほど、愉快な絵言葉がたくさん並んでいます。どのページも隅々まで有名な物語の登場人物が何かをしていますから、子ども達がページの端々まで食い入るように夢中に見る様子が目に浮かびます。
真夜中にこんな楽しいことが待っているなら、ちょっとのぞいてみたくなりますね。
本棚の中に並んでいた澤野さんの1作目の作品から猫のちゃまるも顔をだしてるかもしれません。
本の中で見つけてくださいね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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