クークーはいつも寝てばかりの、ねぼすけ子犬。
「ねてばかりいたら りっぱな いぬに なれんぞ」とパパが言いますが
「りっぱな いぬって どんな いぬだろう?」
考えているうちにクークーはまた眠ってしまいます。
洗濯物を干すお手伝い中もうとうと。
勉強してても、ごはんを食べてもうとうと。
寝てばかりのせいで友だちもできないクークーを、ママとパパは心配そうに見ています。
でもあるとき、寝ながら歩いていて「ゴチーン!」と木にぶつかってしまったクークーは、逆にまったく眠れなくなって……。
眠れなくなったクークー、どうなる?
眠いクークーと、眠れない目がギンギンのクークーは別人みたい。
ママとパパは、クークーが寝てばかりでも心配だし、眠れないのも心配。
あれこれいろんなことをしてあげて、じーっと並んでクークーを見守る姿に……クスッと笑いたくなり、ほのぼのしちゃいます。
やさしいパパとママに囲まれたのんびりやさんのクークー。子どもたちの理想ですね。
幻想的な風合いの絵と、子どもたちに身近な子犬が主人公でしかもねぼすけ、という設定の組合せがおもしろいです。
じつは作者のたなかしんさんは絵の下地に海の砂を使っているのだそうです!
波打ち際の細かい海砂を、塩を洗い流し、天日に干し、絵に使う。それは太陽のエネルギーさえキャンバスに閉じ込めるようなイメージなのだとか。
そのせいか、シックな色使いのなかにもふしぎな明るさがこもった絵本です。
おふとんでママとパパに一緒に読んでもらえたらもう最高ですね。
眠いときも、眠れないときも、しあわせな気持ちになるおやすみ絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む