フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ4巻は、イギリス民話『カメのえんそく』。
お父さんはユックリッチ、お母さんはノンビリーナ、子ガメはアセラーズ。
名前の通りのんびりなカメの親子がおりました。
「えんそくってなあに?」とたずねると、「とーってもたのしいのよね」とお父さんとお母さん。
遠足に行くことにした親子ですが、行き先やお弁当を決めるのものんびりだから、すぐに日が暮れてしまいます。
そんな時、お父さんは「あせらない、あせらない。おたのしみは、あとにとっておくもんだ」と、かっこいい決めゼリフ。
遠足は想像以上にゆっくりゆっくり進んで行きますよ。ちゃんと行けるかな?
後藤美月さんの、めりはりある元気なイラストが楽しいですね。期待感いっぱいの子ガメ、アセラーズが、遠足への空想を膨らませて楽しんでいる様子がどのシーンでもかわいいので注目してみてください。
左ページは昼間を、右ページは夜を表す構成もスタイリッシュ。
文章を書いた新沢としひこさんは、『世界中のこどもたちが』で有名なシンガーソングライター。お父さんと子ガメのやりとりが、歌のように心地よく繰り返され、ゆったり構えたあったかい親子の関わりが伝わってきますね。
ついつい焦ることの多い毎日ですが、楽しみを少し先に延ばして、のんびりしてもいいんだなと思わせてくれますよ。
(長安さほ 編集者・ライター)
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