「ぼくだけのこと」「わたしだけのこと」って言われたら、何か見つけられる?
うーん、何だろう。すごく足が早いわけでもないし、珍しいペットを飼ってるってわけでもない。
ようたくんの「ぼくだけのこと」はこんな感じです。
「お兄ちゃんと妹、3人兄弟のなかで、ぼくだけ、右のほっぺにえくぼがある。
これは、ちょっと嬉しい ぼくだけのこと。」
お兄ちゃんも証言してくれています。
「確かに弟にはえくぼがあります。笑うとできるし、怒るとなくなります。」
それから、家族の中ではぼくだけ、いつも蚊にさされるし、
仲良し6人組の中では、ぼくだけ、逆立ちあるきができる。
452人いる学校の生徒の中で、ぼくだけ、運動会の閉会式で貧血をおこしてたおれたり、
町内だと、ぼくだけ、隣の家の犬にほえられないんだ。
ようたくんってどんな子なのか、だんだん見えてくる。
そんな「ぼくだけのこと」がたくさん重なった「ぼく」とまったく同じ子がいるとしたら、
それってすごい奇跡!ぼくは世界にただひとり。
「ぼく」が過ごす新しい一日、これも全部ぼくだけのこと。
そう思うとすごいよね。
人気の児童文学作家であり、直木賞受賞作家でもある森絵都さんによる心に残る絵本。
スギヤマカナヨさんの明るくて可愛い絵が、この絵本を親しみやすく魅力的なものにしています。
「ぼくだけのこと」「わたしだけのこと」。
家族や友だちに聞きながら、ゆっくりでいいから見つけてみようかな。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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