生まれた時からずっと一緒に暮らしていたマルちゃんとおばあちゃん。けれど、引っ越しして今ははなればなれ。そんなマルちゃんの家に届いたのは、おばあちゃんが送ってくれたまっ赤なりんご。おかあさんは、さっそくマルちゃんの大好物のりんごパイをつくってくれます。
「おばあちゃんといっしょに、おしゃべりしながら たべたかったな」
そこでマルちゃんは、おばあちゃんにお手紙を書くことにしました。一緒に食べているところを想像しながら描いたのは、おおきなりんごパイの絵。すると今度は、おばあちゃんからの素敵なお返事。ちぎり絵で描いたりんごパイがひと切れが描かれていたのです! こうして、マルちゃんとおばあちゃんの絵手紙の交換がはじまります。次にマルちゃんが描いたのは……?
大好きなおばあちゃんに会いたい一心で出すお手紙。そんなマルちゃんの気持ちを、おばあちゃんはどんな気持ちで受け取っていたのでしょう。それは、マルちゃんを思って描く優しいちぎり絵を見れば伝わってきますよね。
距離はあっても、しっかりと関係を深めていく二人のあたたかいやり取り。この絵本の作者は、木村いこさんと木村セツさん。なんと実の祖母と孫なのだそう。89歳から始めたというセツさんの新聞ちぎり絵。その魅力もじっくりと味わいながら、なんだか読者の方まで元気がもらえるような一冊になっています。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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