「いちにちくらい みずを やらなくても いいかな」
金曜日は学校で育てている野菜畑の水やり当番の日。だけど、おじいちゃんが旅行から帰ってくる日だからと、なつみは慌てて帰ってきてしまったのです。
なつみの心には色んなことが浮かんできます。
(どうしよう。みんな、サラダパーティーを開くのを楽しみにしているのに)
(もう時間もおそいし・・・。誰かが代わりに水をあげてくれているかもしれない)
(そうだ、雨がふってくるかもしれないし)
心が動き続けるなつみの様子を見て、おじいちゃんは言います。
「だいじょうぶじゃ。なつみ、しんぱいするな。キュウリやトマトが、じぶんたちでみずのみばまで いって、おいしそうに みずを のんでいたんじゃよ」
にんまりしながら語るおじいちゃんの言葉に、なつみの心ははっきりと固まります。そんな無責任な気持ちでいたら、野菜たちは枯れてしまうのです。
なつみはおじいちゃんと一緒に夕方の学校へと駆け出します。
子どもの心によりそい、大人には気付きをあたえる「すこやかな心をはぐくむ絵本」シリーズの第4弾は、子どもの心に自主的に芽生える「責任をもつ」という心を爽やかに描きだします。
係や当番、動物や植物のお世話は「やらなきゃいけないこと」と思っていると、ちょっとしんどいものです。一回くらい忘れたっていいかな・・・と迷う気持ちもよくわかりますよね。だけど、しっかりと考えることで、子どもたちだってその意味に気が付くことができるのです。
おじいちゃんのユーモアを交えたアシストが素敵です。
夕日に照らされた校舎の前で思いっきり水をまく、なつみとおじいちゃん。
そんな印象的な場面を、あおきひろえさんの絵が可愛らしく演出してくれます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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