ある日突然、オレンジ色と黒の縞模様のとらが家にやって来たらどうします? それも礼儀正しく丁寧に「お茶の時間にご一緒させていただけませんか?」なんてお願いしてきたら……。ソフィーとお母さんは慌てることなく、お客様としてとらをもてなし、一緒にお茶を楽しみました。とらが、作りかけの夕ご飯や冷蔵庫の食料、棚の缶詰めもみんな食べてしまったにもかかわらず、ソフィーたちはとらと和やかに別れ、まるで何もなかったかのよう。一大事であるはずのできごとが、このお話では平穏の中に終結する――その異常の平常さが状況のおかしさを誘っています。
お父さんが帰宅し、ちゃんと問題を解決してくれる場面に心が温まります。ごく日常的な英国の家庭風景を垣間見ることができるのも、この作品の魅力。うちにもとらが来るかもしれない……、そんな期待を抱かせてくれる終わり方には広がりがあり、想像力をかきたてられます。
1968年の初版以来、世界で300万部を売り上げ、もっとも人気のある絵本作品のひとつと言われています。
――(ブラウンあすか)
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